図書室
ギャグって、どこ行ったのかな?
第23話 図書室
(あれっ?)
目の前には本棚。
「えっと…」
ここ。どこ?
確か…王女が来て、エルフが来て……。
「何だ、来たのか?」
不意に声を掛けられる。
そこには、三人か四人が使えるテーブルと椅子。テーブルの上にか紅茶のティーカップとティーポット。そして、そこに腰かけている人物。
……オオカミの耳と尻尾を持つ男性の姿。
「………ラーセルシェード?」
「なるほど、同じ魂は同格か?」
面白い事を知ったな。
と笑っているのは、脳筋の自分の前世。
「なんで、居るの?」
もしかして、気を失っているとか。
脳筋のかつての自分に聞いても的確な答えが出るとは思えないが、今は、彼(?)を頼るしかない。
「二人だけだと思ってないか?」
「ふえ!?」
二人しかいないよな……。と、きょろきょろしていると、本棚の隅で隠れている影を見つける。
「……私?」
何で、私。
「帰りたい……。帰りたいよ…」
べそべそと大粒の涙を流す自分。
「なに、これ」
何で泣いてるの。何で。
「人間の感覚のお前だからだ。不思議に思わなかったか。今の自分をすんなりと受け入れていることに」
「うっ!!」
そういえば…。
「じゃあ、新庄真緒というのは…」
私は偽物なの…。
「どちらも本物だ。私を受け入れたか居ないかだ」
受け入れたって、
「まあ、完全には受け入れられないからお前の意識は逃げ込んだだろう」
肉体は、普通に動いてる。
そう、告げられても安心できない。
「戻り方は!?」
訪ねると笑われる。
「戻りたいのか?」
勇者が怖いのだろう。
それは、確かに。でも、
「戻らないと…」
呟くと、笑っていたのを止める。
「なら、簡単だ」
魔王としての自分の力を使う覚悟をすればいい。
そんな覚悟はあるのか? と鼻で笑われた。
「……そんなの」
あると言い切れなかった。
迷ってた。
クーやリムクライン。かつての勇者。魔王。
魔王として振るまっていても、迷っていた。
「……」
「まあ、それが普通だ」
分かっていると言われて、図星の分腹が立つ。
「ここは、お前が迷うたびに来るだろう。深層心理? を形にするからな」
でも、
「…怖いよ。でも…」
泣きつつ届く声。
「……私は、人でありたいよ」
もう一人の私。弱さを抱えてる。人間であろうとする心。
「……」
魔王であった心――ラーセルシェード。
「…覚悟は決めれない」
私は、弱いから。
「でも、帰らないと」
私は、そうしないといけない義務がある。
「そうか」
気を付けて。
止められるかと思ったけど止められない。
でも、
「”私の支配地に入るとわな”」
目を開けると図書室から一転。森の中。
エルフの姿を確認して、旧友が嘘ついたかと思ったが、あいつはそうしないかと思い直す。
なら、
「”私が直々に相手してあげる”」
魔王の名を逆らうことの意味教えてあげようと宣言した。
激おこ真緒様。勇者もまだ怒ってます




