巫女
お母さん。お母さん大変だよ。巫女がツンデレ要因になったよ
幕間 巫女
まさか神敵の魔王――元――に諭されるとは思いませんでした。
ええ。不快と言うべきかもやもやします。
初心を忘れてました。
謹んで生活しているのに楽にならない民。
贅沢三昧豪遊しているのに金が減らない貴族。
四方は霧に覆われて逃げてしまえば自由になるのに嘆く声をずっと聞いていた。
神殿の見習いだった頃は町や村を巡回して薬や治療。勉学などを民に施していった。
その合間合間に家族がいなくなり打ち捨てられた田畑をよく見ていた。
どうして、救えないんだろう?
どうして、嘆きはやまないのだろう?
どうして――?
「根本的な解決が無いからですよ」
先輩の神官が教えてくれた言葉。
「根本的な…?」
「ええ。――苦しみの根元はどこにあるんでしょうね」
先輩の言葉が悲しげに深く響いた。――後日先輩が亡くなったから余計に。
「魔物に襲われたんですよ」
「××なんて…最近魔物が良く出ると言われている所じゃ…」
「ええ。魔物対策をしてほしいと領主に願い出ていたんだとか…」
魔物…。
魔物が……。
『根本的な解決が無いからですよ』
先輩の言葉が蘇る。
「あそこの魔物対策の資金って…」
「たくさん国から支給されていたけど、それでも足りないって……」
魔物が居るから……。
「――何言ってんだ。あそこの領主が魔物対策用の資金を自分の私腹に回しているって、地元民じゃ有名な話だろう」
誰かが言ったその言葉はその時のわたくしの耳には届いてなかった。
ただ、魔物と言う存在が悪だとその時点で脳裏に刻まれた。
人々が育てた作物も実らない。
病気や壊死。餓死なども魔物の中で病を撒くのが居るから。
……その裏にかつて病を治す事の出来た魔物が居たという事実も学んだ。それが消えたという事も。
――その消えた事実の裏に乱獲があったのだが人間の中ではその事実は伝わっていない。
全ての禍。根本的な解決法は――。
「魔王を倒すこと――」
そう決意して勇者が現れた時に供になる事を願い出た。
それがいつから歪んだのだろう――。
勇者に会って恋をした時?
女騎士と魔法少女と寵愛を争いだしてから?
魔王を倒した時?
英雄と崇めれれて?
自分のした事が間違いだったのであないかと気付きだした時には手遅れだった――。
女神が偽りだったのは関係ない自分の信仰心が薄れていたのだ。
それでも自分は正しいと思い込んでいた。
だから、
「認めたくありませんが、……感謝してます」
小声で告げるとその声を向けた主が首を傾げ、
「何か言った?」
「いいえ」
聞かせるつもりのない謝礼だったのでそう誤魔化した。
因みにアカネはずっといます。巫女の独り言も聞いてます。
アカネは告げ口をした。
巫女10のダメージ。
真緒は聞かなかった事にした。
*注 本当に聞こえてません




