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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
外の敵
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強者の気配

お仕置きタイム(序)

  第22話  強者の気配

 エルフは目の前に現れた存在を一瞥すると、

「”あの村のやつか。邪魔だ。さっさと”」

 エルフ達にとって、村は、ただの通過点。本来なら、すでに立ち去っているはずのところ。

「*******(村に何の用だ?)」

 妙な声だ。

 よく分からない言葉と二重に自分達の声が聞こえる。だが、

「”村? 用など無い!!”」

 そう、用があるとしたら、

「”我らが通るのに邪魔なだけだ”」

 だから、燃やした。道が広がると判断して、

「”それがどうした?”」

 そういえば、燃やした時にこの地区の魔族が邪魔して来たな。あの雌――真緒の事―ーを消す前の肩慣らしに倒しておくか。


 エルフ達には、目の前の人間など気にする価値のない代物。だった。

「*******(勇者である湯島正樹が宣言する)」

 それは、まばゆい光。

 その人間の中心に集っていく。

「”それは…”」

 こんなの見た事がない。

 動揺するエルフ達に、

「*******(この地を荒らすならかかってこい!!)」

 と声を上げた。

                     *

 巨大な力の流れを感じる。

「これは……」

 背筋が凍る。何があったか見に行かないといけないと思うのに、足がすくんで動けない。

 それは、よく知っている。

 魔王であった自分が、目の当たりした勇者の力。


 逃げたい。


 とっさにそう思って後ずさりしそうな心を、足を、身体を魔王としての誇りか。人間として生まれ直した鈍さか。


 それは、祈り。

 人々は、恐怖を、絶望を払いのけようと祈る。


『助けてください!!』

『守ってください!!』

 自分を、家族を、縋る想いは。光になり、力として、勇者の中に入っていく。

 勇者という器に力を注いでいく――。


 なんで……。平気なんだろう。

 あんな力を、祈りを。希望を背負って。 

 

「怖い……」

 知らずに言葉はこぼれる。

 怖い。だけど…。


 逃げるなと自分に言い聞かせる。

 逃げようとする心を押さえつけ、その力の方に向かう。

 と、その時。

 どん

 ぶつかってくる人物。

「えっと、王女殿下……?」

 そういえば、王女のところ行かせたわ。

「勇者様が!! あの、えろふとかいうのが!!」

「えろふじゃなくて、エルフです」

 どこのワイセツ物だ。

「とにかく!! また現れ…て……!!」

 と叫んでいたが、途中で声が弱まっていく。


「………」

 他でもない。その噂のエルフの一部がこの場に現れたからだ。

「******」

 王女には理解できない言葉で何かを言ってくるが、一つだけ友好的ではないのだけ、伝わってくる。


 王女はとっさに隠れようとする。自分じゃ……自分ともう一人では勇者の足を引っ張るお荷物だと理解しているから。

 早く逃げないと。でも、自分の足で逃げられるのか。


 いっそ、ここで、諦めたら……。


 自分の価値は地に落ち、勇者は自分を見ていないのも気付いてる。でも、諦めきれない。

 このまま修道院に行かされるくらいなら―――。

「……ったく」

 小さく呟かれる声。苛立ちを含むその声。

 その声と同時に気温が急に上がり、空気が乾燥してくる。

「”私は、大人しくしたいだけだが、お前達は私の支配する地を荒らす気か”」

 王女の理解できない言葉。だけど、怒りは伝わってくる。

「”なら、喜べ、王自ら手を出す事をな”」

 それは、勇者と同格である者の。さっきまで勇者の力に怯えていた。人物と完全に別人だった。







お仕置きは続くよ

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