石柱破壊
この石柱は女神達に関係ある代物です。まあ、分かると思うけど
第219話 石柱破壊
石の柱。
「何か古そうだな」
いや、古いか。
禍々しさを感じなければ、歴史的な物かなとか――少しは――興味を持てたかもしれないけど。
「――勇者」
「だから勇者じゃなくて…」
「これを見ろ」
「…無視かよ」
もう慣れた。……悲しくなんかないんだから。
何々?
「……」
「………」
うん。ごめん。
「風化していて読めないんだけど」
風化していて欠損。僅かにあった凹凸も風と雨で滑らかになっていて読めない。
「……読めない。そう言うって事は文字は分かるんだな」
馬鹿にしているのか。
そんなの最初に召喚された時に叩き込まされた。…難しい文章は苦手だけど。
(なんで、書類と勝手ワザととしか思えない難しい言葉で書いてあるんだ。こちらを理解させようという気が無いと思うんだ)
「……別に文字を読めと言ったわけではない」
そうなの? うん。それならもっと早く言ってほしかったな。
「剣を振るしか能がないのか」
お前な。いくら温和な俺でもそろそろ文句を言っていいと思うんだ。
「なっ…⁉」
「この柱の力の流れ…」
力の流れ?
「あっ……」
禍々しいとか不気味な力とかで正視したくなかったけど。何だろう地面から力を吸っているように見える。
「これでは農産物は育たないだろうな」
だよな。でも………。
「何のため?」
何をしているんだろう。
う~ん。
「壊した方がいいって事だよな」
「ああ」
「なら、壊そう」
あっさり決断して――単純だなと小さくリムクラインが呟いたのは聞こえたけど無視しておく。ダメだったら止めるだろうから駄目じゃないみたいだし――剣を取り出す。
新生勇者の剣。
「しかし、勇者の剣を新しくしたのはいいけど、切っているのがねばねばとか、この石柱とかばっかだな」
「魔族は真緒様の害になるモノ以外は斬るな」
いや、そういう事じゃなくて、剣として正しい使い方してないなとか。剣先が悪くなりそうだなとかそういうのを思っただけなんだ。
………この件が片付いたら手入れしよう。
死亡フラグを立ててる気がするけど、死なないからね。
死にたくないからねっ!!
「…じゃあ、さっそく」
一閃。
…………石柱から離れているって突っ込み話の方向で。
「――決まった」
やっぱこうじゃなくっちゃ。
ずずずずっ
斜めに切れた石柱が――良かった切れて。これでかっこつけただけで何も起きませんでしたと言ったらかっこ悪いし――滑るように地面に落ちていく。
「見た見た!! かっこいいでしょう!!」
「――どうやら禍々しい力は消えたようだな」
無視。
ねえ、突っ込んでよ。悲しいんだけど。
色々切なくて涙が出そうになった……。
久しぶりの活躍だったのに。
「――勇者」
だから勇者って、
「構ってくれたっ!!」
「……」
無視。
「終わって無い様だ」
「………ふぇっ」
リムクラインが指差す方向には、巨大な鳥。しかも…、
「何だよあれっ!!」
たくさんの顔。顔。顔。
苦しそうな顔。泣いてる顔。たくさんの人間の顔が埋め込まれている。
・・
「あれが食った人間の死に際の顔だな」
因みにあれは味方ではない。
「………それは分かるよ」
あんな悪趣味なモノ。新庄達からすれば不愉快の一言で片付けられる代物なのは見て分かった。
物を壊したら魔物が出てくる。ゲームのお約束です。
勇者「そこはお約束を踏襲しないでよっ!!」
イメージは姑獲鳥ぽいので。




