結界の再生へ
人数が多いから空気になるヒトも多いな
第215話 結界の再生へ
食堂でご飯を食べ終わると、
「さて」
………何で冥王が仕切ってんだろう。
「食事前に出そうとした勇者がいたからだよ」
思っていた事が筒抜けだったらしい。あっさり返された。
んっ? 食事前?
「うん。これをね」
目の前には箱。
うん。箱。
「これってさ…」
密封しているつもりでも漏れている臭い。
「ラーセルの予想通りだよ」
予想通りってか。うん。
「食欲を自分で無くさせてどうするの!!」
…………中身は察してください。
「だから、僕が仕切ってんだよ」
「……うん。ごめん」
悪かった。押し付けて。
「――で、君の遺体だけど」
「生々しいから言わないで欲しかった…」
後、前の私の身体であって今の身体は別物だから。君の遺体と言う事実だけど、そこら辺は遠回しで言ってもらいたい。
「――うん。じゃあ、君の死骸だけど」
より怖くしてどうするのっ⁉
「ごめん。僕子供だから」
「誰よりも長生きな魔王が何言ってんのっ!?」
テヘペロしている冥王に怒鳴る。
「苛々してると皺が増えるよ」
「誰が増やしてんの!!」
この確信犯が。
……ちなみにこの間。精霊王は面白そうに笑い。龍の末っ子はオロオロして、後のメンバーは怯えていた。
「まあ、御ふざけはお仕舞いにして」
空気が変わる。
最古の魔王。最恐の魔王。――冥王。
彼の雰囲気に飲み込まれる。
「さてと結界の再生だけど」
箱は五つ。
右腕。
左腕。
右足。
左足。
胴体。
「頭は?」
足りない。
「……もう設置したよ」
勇者が告げる。
「――そう」
頭は魔王城。その最下層にある誰のためにあるのか分からない礼拝場。そこに飾られた石像に空洞がある。
そこに入れるのだ。
「じゃあ、後五つか」
……私は触れない。どんな作用が起こるか分からないから。
これは魔王を倒した勇者とその仲間の身に出来る事。
「結界の再生させるのに埋める場所は……」
勇者が地図を取り出して確認する。
東西南北。そして、北東。
「設置場所にそれぞれ石像があるから」
後、設置が完了したら守護人形が起動するようになっている。
「じゃあ、俺。魔法少女。女騎士。巫女。殿下…もお願いします」
勇者がちょうど五人だと判断して――流石に王女に頼むかは迷っていたが――それぞれを指し示す。
「じゃあ、僕は魔法少女さんに付いていきますね」
触れないけど、護衛は必要ですよね。
竜の末っ子の言葉に、魔王二人も笑い。
『なら、わらわも参ろうか』
ガタイのいい男性の姿になって精霊王が告げると、
「じゃあ、僕も」
にこにこと――不気味な笑顔に思えるのは癖がある人物だからだろう――女騎士に近付いて、
「よろしくね」
「あっ、ああ…!」
どこか引き攣っている女騎士に苦笑して、
「リムクライン」
「はい」
「勇者の護衛をして、アカネは私と共に巫女の護衛。クーは城に残っていて」
三人の部下に命じると三者三様に――アカネは喜色満面だが、残り二人は不服そうだ――反応して、
「クー。次の魔王を守りなさい」
と命じて、かなり不安気に怯えている巫女を横目にして、
「よろしく」
と意地悪い笑みを浮かべた。
――因みに正体を明かす前に巫女にやられた事は忘れていない。
性格が悪いなと自嘲気味に笑った。
シトラ&シヅキ
(何の事だろう……?)




