勇者と魔王(候補)そして、冥王
腹が減っては戦も出来ぬ
第214話 勇者と魔王(候補)そして、冥王
つまり……。
「ここに向かっている途中で勇者に会ったって事なんだ」
「ああ…しばらく行動を共にした」
その時、男性でも勇者は仲間にしたんだ――ハーレム勇者だから男に興味ないだろうと思った――とか、魔族って事を隠さなかったんだ――巫女辺りがキイキイ言いそうなのに――とか、シヅキは虐められなかったのかな――勇者に近付く女性に容赦ないけどこの三人――とかいろいろ考えてしまう。
でも、一番気になったのは――。
「城の近くまで来ていたのに城の中に入るのに時間掛かったね?」
「正門から入ったから」
正門――魔族がうじゃうじゃしていて、まるで、遊園地の開園前のような感じだ。勇者達は裏口から入ったのですんなり入れたのだが、正門からじゃ時間掛かるか。
「――ところで、えっと、シトラをどうしてここに?」
勇者が尋ねてくる。……のはいいが、名前?
「俺とシヅキには名の束縛が無いので」
あら、便利。
「連れてきた。――勇者は何も感じない?」
確認。
「感じるって…?」
何を?
首を傾げられて――可愛くないが取り巻きには好評だった――尋ねてくるので、
「魔王だよ。次の」
正式には候補だけど。
ばっ
その言葉に三人が反応するが、
「………………高い魔力は分かるけど、魔王だと言われると………」
分からない。そう返される。
「冥王」
「彼は勇者の対じゃないからね」
そこら辺が分からないので一番詳しそうな――人を過大評価しすぎ(by 冥王)――冥王に尋ねる。
「魔王と勇者は対になってるから、ラーセルが勇者の対だったけど、今は司祭が対になっている筈だから反応しないんだよ」
……………私が聞いたのに勇者に説明している。
「――で、ラーセル。僕は結界の話でここに集まったつもりだけど?」
何でここに次期魔王?
「繋ぎを取っておこうと思ってね」
それに見つけたし。
「――ラーセル」
冷たい声。
「転生したらおつむがましになったと思ったけど。――まだまだだね」
「酷い言われよう」
「言いたくもなるよ。――勇者がいくら協力体制とはいえ、勇者の前に魔王(候補)を連れて来るって、勇者が空気を読まない愚者だったら一瞬で倒して司祭がこの地の魔王に決定してしまったんだよ!! それとも何、勇者を無理やり魔王に進化させる? 君の行動は君の大事なこの地域を滅ぼす事になるんだよ」
それでもいいのなら、僕と精霊王。龍帝がさっさと宣戦布告するけど。
「まあ、それも面白そうだけど」
「頼むからそれ止めて…」
愉快犯のこいつならやりかねない。
「勇者に感謝しなよ」
冥王に一通り説教されて、
「さてと、この後の方針だけど」
気が付いたら冥王が議長になって話が始められた。
冥王は怖い王




