そういや、面識があった
短いです。
第213話 そういや、面識があった
「新庄さん。おはよう」
勇者達が声を掛けてくるのは食堂――そんなのもあったんだ――ここで食事をしてから今後の方針を決めようと――玉座の間は寒いし居心地が悪い様だ。魔王を倒した事を思い出すというのも理由らしい――と集まったのだが、
「おはよう。湯島君。――紹介したいヒトがいるんだけど」
攻撃してきたらどうしよう。一応魔王(候補)と(傀儡)勇者だからな。
……………今更ながら不安になってきた。
「紹介したい人?」
「いや、人じゃないんだけど…」
元は人だけど、今は違うな二人とも。
いや、シヅキは半魔。人と魔族の混血だけど。
二人を見せる。
「「「……っ⁉」」」
勇者のハーレム達に動揺が走る。
ああ、動揺するよね。
魔人が増えたし。
いくら理解していても魔族――この場合魔物か――は敵だと思っていたのだから。
『ほうほう』
「魔王候補か。しかもラーセルの遺志を継いでる感じだな」
面白がる魔王二人。
「虎ですか。龍虎という言葉があって、僕達の最大のライバルなんですよ」
穏健な龍のはずなのにまるで、オラ、わくわくして来たぞと言いそうな雰囲気だ。
「……シトラ?」
「勇者…」
あれっ? 知り合い?
……。
………。
「ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫んでしまう。
「真緒様っ!!」
「ありゅじどうしたの!?」
「……!?」
魔人三人が慌ててこちらを向く。
「そう言えば…、知っていたね」
どうしよう。死んでいる所もばっちり見てたよね。
生き返らせたのを説明していいものか。
どうしよう。
どうしよう~。
「マオ。落ち付いて」
シトラが冷静に――何で冷静なの――声を掛けてきて、
「会ってるから」
以前に。
静かに。返されて。
「はああぁ!?」
動揺のあまり声が裏返った。
これで役者はそろった。これ以上増えない。(予定)




