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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
新たなる加護
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旧魔王と新たなる魔王候補

虎と狼。そしてウサギと山羊。動物で例えるとそんな関係

  第212話  旧魔王と新たな魔王候補

 魔族に囲まれているのシトラ達に近付こうと進がなかなか近付けない。


「難しいですね」

「だね…」

 ついぼやくと魔族が声に反応してこちらを見る。


「”人間…?”」

 どうして人間が、疑問に答えようとするがそれより前に、別の魔族――獣人が、

「”魔族と仲がいいから魔獣使いだと思われて逃げてきた口じゃないか?”」 

 と、推測を言っている。


 ああ、魔力が無いからただの人間と思われているんだな。あの時の映像の姿とも異なるし。


 ……映像では、白銀の魔人姿とフードを被った姿のどちらかしか見えないから同一人物とは思われないのだ。


「”通してもらえない?”」

「”はっ、何言ってんだぁ⁉”」

 簡単に通すとでも思ってんのかと言おうとした獣人は別の獣人に止められる。

「”何しやがる!”」

「”よく見ろ”」

 獣人たちの視線の先にはリムクライン。

 魔人だ。


「”魔人だ…”」

「”魔人…”」

「”どうしてここに…”」


 ざわざわと騒ぎが起きてしまう。

 リムクラインを置いてきた方が良かったかなと後悔しつつ、丁度良く道が出来たので進んでいく。


「君は…マオ」

「……久しぶり。えっと…」

「シトラで、いいですよ」

 名を呼ぶ危険性を熟知しているからの確認。

「俺は、名の縛りは無いので」

「えっ……⁉」

 名の縛りが無い?


「”シトラ。知り合いか?”」

 獣人が名の縛りを気にせずに声を掛ける。

「”ああ。恩人だ。俺とシヅキを助けてくれたヒトだ”」

「”そっか、それなら会いに来るよな”」

 納得したと離れていく獣人達。


「……話はこちらの言葉の方がよさそうだな」

 旧文明の言語から今の言語に切り替える。

「そうだね」

 シトラの傍にはシヅキ。そして、シヅキにくっ付いている女の子と魔獣。


「魔力が無くなったんですか」

「尽きたという方が正しいかな。……自覚無かったけど、魔力の残りかすで力を使っていたみたいでね」

「ああ。そういう事か」

 話をしやすい様に場所を移動しようかと考えて、

「真緒様。こちらです」

 リムクラインがタイミングよく声を掛けてくる。


 客室の一つに案内され。

「元気そうでよかった…」

「ああ。君に貰った命大切にしてるよ」

 にこり。

 人間だった時と変わらない笑み。


「――で、どうしてここに?」

 魔族に変えてしまった事で生きにくくなってしまったのかと心配になってしまうと、

「違うよ」

 決意を宿した眼差し。

「俺は、ここに自分の意思で来たんだ」

 まっすぐで迷いのない眼差し。

「俺は」

 

 思い出す。

 遠い記憶。

 前世の頃でも遠い。


 ――まだ、ラーセルシェードが狼の…魔獣と呼ばれていた頃。


『私は』

『「魔王になりに来たんだ」』 

 かつての自分と今のシトラ。二人の声が重なった。

真緒「魔王候補で一番まともだ」

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