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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
新たなる加護
228/290

託せる未来

お話しさせたかったけど、この話じゃ無理だった。

  第211話  託せる未来

 シトラは多くの怪我をしている魔族に囲まれている。元は人間だから絡まれているのかと思ったが、魔族は根は単純なのが多いのでそれは無いかと考えを改める。


 ……………じゃあ、何で?


 疑問はすぐに解けた。


 怪我をしていた魔族の一匹――ちなみに魔獣だった――人間にやられたのか大きな火傷を負っていたのを撫でると火傷が少しずつ消えていく。


「回復魔法……」


 シトラを魔人にした時。

 ………魔族を創る時これと言った能力を付属させる――クーが隠密能力特化なのはそう設定したからだ――が、シトラに関しては生き返らせる方を基準にしてシトラと言う存在が魔人である事を除けば変わらないでいてもらいたかったのでそのまま設定しなかった。

 ので、魔人として成長する姿を見ると、


「万能型……」

 そういうのは器用貧乏になる事があるのに。そういう欠点はなさそうだ。しかも、魔王に近くなっている。


「……」

 魔王化していた勇者は勇者自身が踏み止まったのとラシェル――女神の方――が上書きした事で魔王化は収まった。

 

 玉座で見た次期魔王候補の輝きを思い出す。

 あの時見た輝きは三つ。


 一つは勇者だった。

 英雄願望に踊らされ、女神ユスティに唆されて魔王化が進んでいたが既に魔王の候補から外れている。


 もう一つは司祭。

 …………………思い出すと鳥肌が立つが。


「真緒様?」

 ずっと傍に居たリムクラインがこちらを案じるように見てくる。

「ああ。大丈夫。ちょっと嫌な事思い出しただけだから」


 司祭は、私――かつて魔王だったラーセルシェードの魂と肉体に対して執着していた――それを手にするのを望んでの魔王化。


 そして、司祭の魔王化はまだ進んでいる。


「私は性悪だな」

「真緒様?」

 本来なら既に存在が消えているのに――高位の者になっている――その後の未来を都合のいい様に進めたいから――彼を利用しようと考えてる。


 ……………この地域で遊んでいる存在と大して変わらない。


「真緒様は、”王”なんですよ」

 少し…いや、かなり複雑ですけど。

「……?」

 どういう意味なんだろう。

「私は一介の魔人――いや、かつては獣人だったので自分の事で一杯一杯でした。でも、冥王様が」

「ハゼットが?」

「――王は王としての役目があるという事を言いました。魔族を守るのも王として方針を出して導くのも――それで、その王としてあの候補は王として認めたくないと告げました」

 リムクラインは思い出すようにゆっくりゆっくり語る。

「真緒様は王として最善の方法を考えているんですよ」

「……そんな綺麗な事はしてないよ」

 過大評価し過ぎ。

 笑って返すと、リムクラインは柔らかい笑みを浮かべ、

「――私は王にはなれません」

 ……何言いだすんだろう。

「欲望が強くする。それが魔族の常識。――私はアカネとクーなどと貴方を守り、貴方の役に立つ事が望みであり欲望。貴方と言う前提が無ければ魔力を欲してません」

 嬉しいけど。居なくなったらどうなるか心配だ。


「貴方は性悪ではありません。人間の国では王が、自分の後継者を選ぶ。貴方も王として魔族を任せられる王を選んだんですよ」

 彼は元は人間です。そういう魔王として異端な行為も受け入れるでしょう。


「……」

 リムクラインも分かっていたようだ。彼が魔王だという事が、

「全てに愛を注ぎ、全てを救いたい。――慈悲深き獣の王の名を継いでくれるでしょう」

 そうかもしれないな。


 元人間だから。ラーセルシェードが叶えられなかった魔族と人の共存も叶うかもしれない。

 そんな未来に期待してしまい。

「さて、会いに行きますか」

「――お心のままに」

 と宣言した。

Q,ラーセルシェードも回復魔法は使えますか?

A,できるけどしません。それより治療に特化した魔族を創りました

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