魔王と部下と生贄の子と
これでタイトルに戻りました。長かった。もう別行動はしないつもりです
第204話 魔王と部下と生贄の子供と
ねばねばを妬き尽くして、
(よし、俺かっこいい!!)
自画自賛を通り越して自画絶賛してしまう。やっぱ勇者はこうではないと。
「しんじょ」
「真緒様!!」
新庄さんと呼び掛けて近付こうとするが横からリムクラインにかっさわれる。
悲しくない。虚しくないぞ。
だからどう慰めればいいのかと相談しないでお願いだから。
それにしても……。
必死に新庄の名を呼ぶ続けるリムクライン。正直好印象を持ってないし、もたれてないので、あんな必死なリムクラインに驚く。
焦りを隠そうもせずに必死に呼びかけ続けるリムクラインの目には涙が溜まっている。
「真緒様!! 起きて下さい」
ぱしぱし
軽く頬を叩く。
泣きそうな顔。
必死さが伝わってくる。
「………………リム?」
ぼんやりとゆっくりと新庄が目を開ける。
「真緒様…」
反応があった事でリムクラインが安堵の笑みを浮かべ、溜まっていた涙を流す。
男の涙なんて見る価値がないと思ったけど、イケメンは泣いても様になるな。
………俺だって、イケメンだ。
負け惜しみのような事を考える。
「……リム。泣いてるの?」
ぼんやりと。だけど心配する声。
「……心配かけた?」
「――はい。遅くなって申し訳ありません」
無事で良かった。
泣きそうな声。
そして、喜ぶ声。
「……」
新庄はリムクラインしか見えてない。
それだけぼんやりしているんだろう。
「王様!!」
そんな新庄に水を差すのは白銀の魔人。
「早く逃げるよっ!! 今の内に!!」
その言葉にこの場にいた全員がここが敵の本拠地だと思い出した。
そして……。
「……私!?」
うわっ、慌てる新庄さんなんて初めて見たかも。
「王様。私だよ」
「――ラシェル?」
信じられないと呆然と呟く声。
「夢じゃなかったの…」
「――王様。魔族は欲望を力にする。王様が私に会いたいと思ってくれたから会えたんだよ」
ぎゅっ
抱き付く白銀の魔人。
……一瞬。小さいがりがりの女の子と白銀の魔人の姿が見えた。
「ならっ!? どうしてもっと早く会いに来てくれなかったんだ!!」
会いたかったのに、そう叫ぶ声に魔人――ラシェルが告げる。
「――王様。私は会いたいと思ってなかった。ずっと、王様の一部になりたかった」
そして、
「今はやりたい事があるから出てきたの。だから」
お城に帰ろう。
そう告げる声はあどけない。だけど、
その眼差しは昏い物が宿っているように見えた。
真緒「イケメンは泣いてもイケメンなんだから」(どきゅーん)
リム「真緒様?」
ムード台無しになるので入れれなかった。(´・ω・`)




