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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
新たなる加護
215/290

まだ思い出す前

真緒様が湯島(勇者)のファンにいじめれていた時の頃――。

  幕間  まだ思い出す前

 こけっここここ こっけー

 コケコッコー


 鶏小屋に息を潜めてじっとしている。


「真緒。見っけ」

 近付いてきた気配。掛けられる声に、鶏小屋で息を潜めていた真緒はそっと小屋の外を見る。

「今回はどうしたの?」

 小屋の中に入らず覗き込んでくる学生服の幼馴染。

里村さとむら……」

「また、靴でも隠された? それともカバン? 探すの手伝ってやるからさ」

 出ておいでと声を掛けられて、首を振る。


 短くなった髪。


 それに気付いて里村の表情が曇る。

「――出ておいで」

 柔らかい優しい言い方だが有無を言わさない力を宿した声。

 それに抵抗出来ずに渋々小屋を出る。


「見事に切られたね」

 ばらばらになった髪を綺麗に結っていく。

「切り揃えてあげたいけど、工作ばさみだと髪が痛むしね」

 今は応急処置。

 そう告げてくる幼馴染に、

「ありがとう……」

 小さく、か細い声でお礼を言う。

「――真緒は変人に好かれやすいからね」

 俺も含めて。

「また、あいつのファンだろ。真緒が靡かないからってちょっかい出してきて」

「うん……」

「はっきり言った方がいいかもな」

「………………湯島君怖い」

 漏れる本音。

「正確には湯島じゃなくて、湯島のファンだろう。まあ、あいつは空気が読めないみたいだけど」

「…………構わないで欲しいと告げたら、遠慮しないでと言われた」

 遠回しな遠ざける常套句。オブラートに包んであったが、

「気付かれなかったのか……」

 それは参ったな。

「こうなったら、迷惑だってはっきり言わないといけないな」

 迷惑してるのは事実だし。

「うん……」

 泣きそうな真緒にそっと撫でる指先、

「まあ、真緒が困ったら俺がフォローしてあげるよ」

 だから、帰ろうか。

 そう告げる柔らかい声。

 

 その声に誘われるように帰路に着く。


「……里村」

「うん?」

「湯島君が私に構う理由の一つが里村にもあるんだよ」

 並んで歩き、思い出したように教える。

「んっ? 何で?」

「私が里村と仲がいいから良く思ってないみたい」

 里村って、根暗代表な感じの姿でしょ。私のイメージが悪くなるって。

「勝手だな」

「うん。勝手。……私からすれば湯島君は軽そうで好きじゃないだけなのに」

 興味を持たないから気になる。そんな感じだ。

「………子供なんだよね」

 里村が意味深に告げる。


「里村?」

「内緒」

 面白がるようなセリフ。


 好きな子にちょっかい出して構ってもらおうとするやり方は子供みたいだよ。


 真緒に聞こえない本音。


「エスカレートするようなら何とかしないとね」

「里村?」

 その後日釘を刺しに行ったが、その釘を刺したすぐに異世界召喚されるのはその頃の二人は知らなかった。


また、幕間で今現在の真緒様達の世界の状態を触れたいけど、また今度。因みにこの里村君が湯島にいろいろ言っていた真緒様の友人の男子生徒です。

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