表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
206/290

眠り姫

姫と言う柄じゃないと本人は言いそうだけど

  第191話  眠り姫

 夢と言うのは精神が裸になる状態だ。

 洗脳しやすい。


(どうしたものか)

 ずっと聞こえる誰かを褒め称える声。優しい手で触れて、真綿の様に捕らえる感触。


 正直に言うと気味が悪い。

(はあ、こういう時図書館があればな)

 魔王と言う存在だった時にも精神攻撃はされていたけど、そういう時は図書館に引き込んで逃げていた。

 そう言う逃げ場所でもあったのだ。


(はあ、どうしよう………)

 生憎今は平気だが、ノイローゼになってもおかしくないくらいに誰かを――司祭と名乗っている男を褒め称え、その存在の傍にいるのが当然だと――その者の為だけに自分が居ると無限に教え込まれていく。

 

 ある時は映像。あるはずもない自分と司祭の出会いを作り込まれて、慕う様に――。


 ある時は音。慕う、愛してる、敬愛してる。貴方しかいない。貴方の為に生きたい。などなど、自分の声気ひたすらそいつの向かって言っている音を流せれ続けている。


 ………………長時間されたらそれが事実として塗り込まれていくだろう。


(リム……)

 ぎゅっと自分を守るように体を丸める。


 助けを待つお姫様など柄でもないが。

 今の状態を維持するのが精一杯で、この現状を打破する方法は無い。


 弱音ではなく。事実だ。


 私と言う存在――ラーセルシェードでも新庄真緒でもある《私》を捕らえる。手に入れる為だけに進化して、魔王に近付いているのだ。


 現状維持が出来ているだけでもまだ頑張っている方なのだ。


(相手を歪めてまで欲しいモノなんだろうか)

 そこまで自分が執着される事に疑問を覚えつつ、耐えていると――。


 ぷっつん


 何かが切れる音。


 切れる物などあったんだろうかと考え、

(これって……)

 因果の糸。

 対であったモノが切れた音。


 対。

 それは、よく言う勇者と魔王の事を示している。

 

 魔王わたしに常にあり意識していなかった殺し合いをする法則。

 運命が断ち切られた。


(勇者に何かあった?)

 動揺するが、すぐに落ち着く。

 ……………動揺していると意識が持ってかれるから冷静に冷静に。


(死んでない)

 死ぬような事態ではない。

(死んでいるのならもっと激しく切れるはずだ)

 そうじゃないならもっと別の………。


(…………)

 別の…何があるんだろう。

 何か引っ掛かるが思い出せない。

 思い出せないという事は知っている筈で………。


(図書館があれば…)

 あそこなら知りたい事も調べられるのに。


(何かヒント。ヒントは!?)

 最後に見た勇者を思い出す。うん。魔王城だ。魔族には手出しをするなと命じたし、魔王候補が現れない限りは無事だろう。

 もしかして、魔王化…!?

 それが進んだのなら切れてもおかしくない。


 さあああああぁぁぁぁ――――


 青褪める。

 もしそうなら勇者は……。


――大丈夫


 今、声が……。


―ー大丈夫だよ。王様


 知っている声。消えたと思った。


――王様の助けが来るまで守るから。それが王様に出来る数少ない恩返し


 痩せ細った子供だった。

 生きる事に疲れた瞳。

 死を望んでいた子供。


 ただ、その魂の輝きは見ていて飽きないくらい綺麗だった。


 外見も心も魂と同じ様にしたらどうなるんだろう。

 興味が湧いて、育ててみた。

 

 甘やかして、知識を教えて、愛して、愛して。


 救えなかった子。


――王様。泣かないで

 私は幸せだよ。

――王様に愛されて、今も思ってもらえて

 だから、王様が弱っている時ぐらい。傍にいるよ。


 姿は見えない。感じない。でも――。


 何かによって弱い心が守られたように精神攻撃が弱まったのを感じた。

作者は生贄のされた女の子が好きです。何でこの子がユスティと双子なのやら

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ