表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
203/290

塗り替え

今起こった事をありのままに話すぜ。

突然勇者が頭を下げたんだ。

ホントだって、信じてくれ!!

俺だって信じられないんだ!!

  第188話  塗り替え

 ………………言葉は分からなかった。

 意味は伝わってない。


 でも、

 彼らが憎んでいるのは分かっていた。


 彼らの態度に起こったのも事実。

 協力していかないといけないのになんて態度だと責めようとしたのも真実。

 相手を責めて、怒りを覚えた矢先にふと思い出した。


 新庄さんに対しての態度。まだ謝ってない――。


 あの時――。

 あの橋が壊れた時。助けようと思って手を伸ばした。

 届かなかった。

 いや、一瞬だけ、彼女が居なくなればと思ってしまったのだ。


 英雄願望。

 あの奇妙な武器庫で攻められた声が脳内をこだまする。

 英雄願望――英雄は一人でいい。巻き込まれた存在なら許容出来たのにそうでない存在は邪魔だった。


 過去の新庄さん――前世の魔王は関係なく彼らは今の新庄にしていた事に怒っていたのにその事が頭からすっぽり抜けていた。


 ………………流石にそれは空気を読んだ。


『せいか~い』

 声がどこからした。

 楽しげに笑うような自分によく似た声。


 そっと目を閉じる。

 すると、脳裏に浮かぶのはあの武器庫。


『認めれば大丈夫だ』

 崩れていく世界。そこで笑う自分によく似た人。

 自分が消える事を心底喜んで――安堵していた。


――ところで

 生贄の勇者。もとい生贄の女神は勇者を見つめ。

――私の勇者に上書きするがいいか?

 尋ねる。

「えっ、と……」

「――許す許さないを決めるのは我が君。真緒様だけだ」

「ありゅじに謝るまで無事でいてもらわないと困る」

「……」

「……『それまで手を貸します』とクーは言っている」

 魔人三人の許しと言うか譲歩。

「ああ。謝るよ」

 告げると三人の敵意が和らぐ。

 それに安心して。

「――お願いします」

 と告げる。


 勇者と生贄の女神を光が包む。

 女神ユスティの勇者からかつての勇者――生贄の女神の勇者として上書きされる。


 光が消え、自分の変化を確認して。

「凄い……」

 信じられないと呆然と呟く声。


 ユスティの勇者だった頃より能力が上昇しているのが伝わってくる。

 身体が軽い。

 まるで今まで自分の居た世界が水の中を歩いていたのに地上に上がってきたような感じだ。

「逆宇宙飛行士……」

 勇者の呟きはこの場に居る誰も理解できない代物だった。


 だが、そんなのほほんとしている状態ではなかった。

                    *

 ある場所――。

 多くの神官達がその事実に怯え、震え上がる。

「勇者が……」

 勇者の動向を常に分かるように術をしていた――それをGPS機能と真緒が居れば突っ込んだだろう――神官が突如消えた事で勇者が死亡したと判断した。

「至急新たな勇者を!!」

 何かあったら勇者に頼る。そんな考えに洗脳されてきた故。そんな愚策を叫ぶ声。

「お告げは無いか!?」

 都合よく神の声は聞こえないはずなのに、そんな当たり前の事が当たり前ではない声。

「司祭様は!?」

「奥宮から出れれません!!」

 船頭と言う先導を失った者達はただ慌てふためき、良案を浮かべれなかった。



ずっと使いたかったタイトル。さてとこれで勇者の魔王化フラグはへし折りました。…………章切り替えるかな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ