魔王の加護
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第181話 魔王の加護
魔王――とその代理――はクーの連れてきた巫女と女騎士を確認して、
「うん。術の痕跡は無いね」
『おそらく、用件も済んだのだから用済みになったのじゃ』
「目的以外興味は無いみたいですね」
三人の見解を魔法少女と王女は近くで聞いている。
「勿体無い使い方するね。僕なら勇者の所に送って勇者を倒すように洗脳しておくのに」
『わらわもじゃな。種を仕組んで養分にしておくのも面白いじゃろ』
「………普通に餌。ですかね」
怖い事言っているのはこの際気にしないでおこう。
「もういいよ」
冥王が勇者を呼ぶ。
『術は無い。近付いて斬られる事も無さそうじゃ』
精霊王もそう宣言する。
それに安堵して、そっと近づく。
「………リジ―」
呼び掛ける。起きる気配は無い。
「………………ローゼル」
こちらも変化はない。
「…………」
「――余程、負担を強いられたんだね」
『起きるのを拒んでおる』
時折苦悶の表情を浮かべる二人。
「リジー。ローゼル」
助けを求めるように手を動かす二人を見て、それぞれのを掴む。
「起きて。お願いだから!!」
大切な仲間。
旅は辛くて、苦しかった。
殺す感覚に怯えた。
そんな自分を支えてくれたのは仲間だった。
………ずっと。忘れていた。
慣れていく内にゲーム感覚になっていって、辛かった事。苦しかった事は忘れて行った。
支えてくれていたのに――。
「……どうにか出来ないの?」
魔法少女が傍らに居る龍に尋ねる。
「精霊王様…」
王女が精霊王に縋るように視線を向ける。
「――あるよ」
光明を差し込んだのは。
「冥王……」
腐乱死体の外見を持つ少年。
「一人にしか無理だけど、……いや、違うか。女騎士ならどうにか出来るよ」
女騎士。そう特定して。
「冥王の加護を与えればいい。名の呪縛の相手がボクになるけどこのまま諸悪の根源に名を縛られるよりはマシかな」
企んでいるのではないかと疑ってしまう。
「加護を与える事で悪夢から脱出するのは本人次第だけど。可能性としてはあるかな」
「………………リジー…巫女は?」
「相性の問題。女騎士なら加護を与えられる。でも、そっちはこの地の神と相性がいい。……加護を与えてみようとしても拒んじゃうんだ」
巫女と言う神職だからだろうね。
「神直々に加護を与えればいいかもしれないけど。……どうかな」
どちらにしても助けられるのは女騎士だけ――。
「ただし、条件は…」
「傀儡か」
「そう。もう引き受けてくれたから共犯者は大事にするよ――付属品も含めて」
本人の意思を無視する事になるが、
「――女騎士をお願いします」
そうきっぱりと告げると、
「引き受けた」
冥王の手から青白い光が出現する。
「ハゼット=ギアがこの者に祝福を与える」
宣言と共に光が女騎士に取り込まれる。
「後は当人の気力次第だよ」
どうなるかな。やや、楽し気に冥王は笑った。
巫女は放置




