魔人合流
真緒の直属の部下三人。(後の名前ありは獣の王時代からの部下だしね)
第180話 魔人合流
魔王城。玉座の間――。
本来の主の居ない中。空気が避ける感覚が伝わる。
「敵…!?」
勇者がとっさに剣を構えると、掛けた空間から水色の髪の少年が――讃美歌とか歌いそうな雰囲気の子供だ――巫女と女騎士を連れて出現する。
「ねえ、僕とキャラ被ってない?」
『安心するがええ。腐乱死体の外見では被りようもないじゃろ』
冥王と精霊王の場違いな会話。
それを聞きながら、剣を構え、警戒している勇者を全く気にもせず。
「クー!!」
「どうしたの? ありゅじに調べ物を命じられていたのに」
まさか勇者達を探っていたとは言えないので調べ物をしていたとボカすと。
「………」
声なき声が二人に伝わる。
「なるほど」
「分かった」
「あの、知り合い?」
二人だけで分からないで。
基本ボケのはずなのに、突っ込みが居なくなると突っ込みに回るのかついつい尋ねる。
「「………」」
それに対して魔人二人は勇者に対してわざわざ説明する義理もない――主君が気に掛けているからこそ一応相手にしている程度の感覚だ――勇者の声に――あくまで雑音程度に気にして――そちらを見るが、
「――で、どうした?」
見る程度ですぐに三人で固まって話し出す。
――私達にも情報を開示してもらえるか?
生贄の勇者の言葉は主君ほどではないが敬意を持っている――何といっても主君に対して礼節を失ってないし、主君が信頼しているのはよく分かったので――勇者の様に相手にしないと言う反応しないなどという事は無く、
「真緒様の命令で二人を救出したとの事です」
リムクラインが答える。
「なっ…!?」
「一応術とかは調べたが高位の者相手の術は分からにゃいと言うはにゃしだけど………」
「じゃあ、僕らが調べようか。魔王二人と魔王の実子なら別の角度からそれぞれ調べられるし」
冥王が提案する。
『そうじゃな。わらわも協力しよう』
「……親爺様ほどでは無いですが頑張ってみます」
それに合わせて、面白がっているのか楽しげに笑いながら精霊王が同意して、言葉の割りにどこか生き生きしている龍の息子の姿がある。
「……お願いします」
所属は違うが格上であり、主君が交友を深めていた相手であるので深々と頭を下げる魔人三人――勇者相手と雲泥の差だ。
「俺、勇者なんだけどな……」
ぶつくさ文句を言うが、味方になってくれそうな魔法少女は魔王達の術の発動を間近に見に行き、王女は精霊王が――この地はわらわの支配下ではないので、術の発動でそなたの協力が必要じゃと言って――連れて行ってしまった。
つまり、勇者は今現在ぼっちであった。
勇者いじめをしてると楽しい(いじめ。ダメ、絶対)




