表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
181/290

再会

このノリを書きたかっただけ

  第166話  再会

 きいいいいいい

 そんな重厚じゃないはずなのに重厚そうな扉が慎重に開かれる。


「リム」

 ずっと掴んでくれていた手を離すように伝えると離れていく温もり。

 それを寂しいと思ってしまった自分を叱り付けて、扉に意識を向ける。


 怖い。


 そう思ってしまう自分を表に出さないように気を付けて。


 映像の時に付けていた仮装をしっかりと付けたまま扉から入って来た勇者一行に既視感を覚えつつばれないように視線を送っている。


「……」

 メンバーが若干多い。いや、それよりも何でいる?


「――ようこそ。勇者一行」

 と、精霊王。

 声を出さずに視線で告げると――仮面越しだから勇者達にはバレて無い――今回は筋肉隆々な男の格好をしている精霊王が手を振っている――その手の降り方は可愛い子供がすれば様になるが筋肉隆々の野郎がしたら怖いだけだ――。

 

「――魔王か」

 警戒してるけど、剣は構えない。

 ―-一概に敵対行動をとらない方がいいと学んだか。

「魔王……だとは言えない」

 さあ、ここからだ。


 怖い。

 手が震える――それを表に出さない――。


 怖い。

 足が逃げようとする――それを踏み留める――。


 怖い。

 声が裏返りそう――意識して冷静に努める――。


「――私は、かつて、魔王だった」

 すっ

 身に着けていた仮面を外す。


 そこから現れるのは新庄真緒。人間だ。


「なっ…!?」

 動揺する勇者達。


『騙してたんだ!!』

『やはり魔物の勇者だったのですね!!』 

『成敗してやる!!』

『裏切者!!』


 そう言われるんだろうなと覚悟して――リムがいつでも守れるように傍にいる――玉座から降りる。

 もう、玉座に居る意味もない。玉座に居るのははったりの為だったし。


「……」

 勇者の反応を待つが、反応が無い。

「……?」

 どういう事だろうと勇者を窺う。


「新庄さん……?」

 信じられない者を見る目。

 うん。そうだよね。

 で、攻撃は?


「ナンマイダブ。ナンマイダブ!!」

 手を合わせてお経を唱える勇者。

 びくっ

 おいおいここはファンタジ-の世界なので、お経は……。


「おのれ、知り合いの姿に化けるとは!!」

 えっ、その…。

 化けるって、変装の意味ですよね。お化けの意味じゃないよね?


「まさか、死んだ彼女の身体に取り付くなんて……」

 生きてるよ!!


「いえ、肉体反応はあります。……生きて身体を乗っ取ったのでは」

 本人です。


 くすくすくすと精霊王が面白がって笑っている。

 ちょっと、収拾付けたいけど、どこから付ければいいの!!


『この者は、そなたらに見捨てられたショックで心が死んでしまったのではないかえ』

 筋肉隆々な姿でそのしゃべり方止めろ。

 ってか、ますます混乱の坩堝に入れるんじゃない!!

 見捨てられたっていうか。見殺しにされたんですけど。


「そんなっ!! 新庄さん!!」

 慌てるな勇者。

「まさか、肉体を奪ったにしては…」

 奪ってません。


 一瞬。これなら正体ばらさないでいられるんじゃない? とか、思ってしまった。


「……………奪ってないが」

「まさか同意!!」

「生きる気力を失って体を明け渡したのですか…」

 えっと、どうしよう。


「まさか。魔物の勇者と言うのがそういう意味合いだったなんて…」

 面白い話が頭の中で出来上がっているみたいだな。


「……」

 面倒だから――若干面白くもなってきたのもあるけど――しばらく冷静になるまで口に出さない事にした。 


 



ゾンビ説。

死体を操っている説。

身体は生きてるけど魂は別物説。

二つの魂が同居している説。

それらが面白おかしく勇者達の中で駆け巡ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ