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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
180/290

キツネの魔人

ネタバレなタイトル(笑)

  第165話  キツネの魔人

 魔族の集団から離れて、城に入る方法を探していたら。

「”……報告通り居た”」

 赤っぽいキツネの耳と尻尾を持つ女の子がこちらに近付いてくる。


 明らかに魔人。

 でも――。


「君は……?」

 敵意がある。

 憎しみをその瞳は宿している。

 だけど、こちらに攻撃をしようとしない。

 

 痛めつけたい。

 苦しめたい。


 瞳は雄弁に語っているがそれを耐えている。


「”ありゅじをいじめた奴なんて八つ裂きにしても足りない。でも、ありゅじの命令はこいつりゃを案内すりゅ事”」

 ……………不思議な事に魔族を知性あるモノだと認識するようになったら言葉が分かるようになった。

「”さっさと付いてきにゃ”」

 そう告げると、さっさと後ろを向いて歩きだす。

『ほお』

 まだ居る精霊王は楽しげに笑って、こちらの反応を窺っている。


「勇者…」

 女騎士はどうするかとこちらを見て尋ねてくる。

「……付いて行くよ。巫女リジー攻撃はしないよ」

 つい心配になって声を掛けたが、必要なかったようだ。


 巫女は、あの事実からずっと俺らの後ろを付いて来ているだけで回復もしない防御もしない。補助もしない……生ける屍のような状態なのだ。


 いや、しないのではなくて出来ない。術が発動しないのだ。


 その事実に彼女は狂乱した。


 …………新庄さんを足手纏いだと、役に立たない。と詰っていた――ちなみにその事実は女騎士と魔法少女が最近になって教えてくれた(ちなみに二人も詰っていたが、その事実は口にしない)。


 その詰っていた自分がその役に立たない存在になった事。

 そして何より、彼女の信じていた神に対しての疑いが彼女から神を信じる心を奪っていき。


 今の彼女は信じるもの。信じていいものが分からず、追い詰められて、ただ自分自身を見つめる事しか出来ないのだ。


 くすっ

――酷いな。屍とこんなのを一緒にしないで欲しいな


 ばっ


「勇者。どうしたの♡」

「何かあったか?」

 慌てて振り向いたが、誰も居ない。

「気のせい……?」

 笑う声が聞こえたのだが………。 


『おやまあ』

「精霊王様…」

『黙っておる方がおもろいからのお。言わないでおくとよいぞ』

 意味深な事を精霊王と王女が話しているが、教えてくれないだろう。この感じだと。


 つい、いろんな事を気にしていたので、キツネの少女の事を忘れたわけではなく――ここ重要――別の事に意識を向けていたらそれが気に入らないと言う様にじっとこちらを見てきて。

「”付いてこにゃいのか。なりゃ、案内しにゃい”」

 と不機嫌に宣言する。

 ………好印象を抱いてないので渋々案内に来たと言う感じなので、その言葉通りいつ置いて行かれるか分からない。

「ごめん」

 謝って機嫌を直してもらおうとするが、

「”こちらに媚を売りゅような嘘くさいのは好きじゃにゃい”」

 と、一刀両断される。

「……ごめん。行こう」

 改めて謝り、他のみんなに声を掛ける。


 それに何とか納得したか案内をしてくれる。

 それに付いて行きつつ、つい。

(舌っ足らずな口調だから仕方ないけど、時折”にゃ”とか混ざるのはキツネじゃなくて、ネコ科の方がいいんだけどな)

 などと思ってしまい。それに気付いたのか、

「”ありゅじの命令だけど、置いておきたい”」

 と言われてしまった。


このキツネの魔人がアカネだと勇者は気付いてない

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