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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
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対峙

正式には対峙前

  第164話  対峙

「”――我が君”」

 声が届く。

「”勇者が”」

 門番を命じてたハクジとセイジからの声。

「来たんだ」

 来るとは思っていたけど………。

「思ったより遅かったな」

 呟いて再び玉座に腰を下ろす。

「真緒様!!」

 リムクラインが責めるような声を出すが、責められるような事しただろうか。

「リムクライン。ありゅじは分かってないみたいだから」

 アカネが慰めるような事を言ってくるけど。どういう事だろう。

「……………私。何かした?」

「いえ、何も。――我らはただ不甲斐無いだけです」

 不甲斐無い……?

「頼りにしてるけど」

 そう告げると、リムが、

「分かってます。そうやって我らを誑すお方だという事を」

「部下殺しだよね。ありゅじって」

 と悶えている――ただし顔は崩れてない。いいなその崩れない顔が――。


「――アカネ」

 何と言っても今から死亡フラグを建設していく事になるんだし。

「――はい。ありゅじ」

「案内しておいで」

 命じる。

「はい」

 心配そうに見たが、それも一瞬。命じられた事をするために去っていく。


 それを見送り…………。 


 がたがたがた


 恐怖で身体が震える。

「大丈夫…」

 身体は覚えている。


 川に落とされた感覚。

 死を望まれた事を――。


「大丈夫。大丈夫…」

 魂は覚えている。


 全ての悪として断罪された記憶。

 勇者の剣で貫かれた事を――。


「大丈夫……大丈夫だから…」

 怖い。

 認めてはいけない。

「大丈夫…」

 逃げたい。

 魂の訴え。


「大丈夫…。平気……」

 そう、この恐怖は錯覚だ。

 私は…………。


 小刻みに震える身体。

 血の気が下がって蒼白になっていく表情。

 体温も低くなっている気がする。


「気のせいだね………」

 そうだ。気のせい。

 平気。平気。


 玉座の肘置きに掴まってないと姿勢を維持できないほど怯えてなんかいない!!


 がしっ

「――無理しないでください」

 肘置きに掴まっていた手を強く握られる。

 強く、温かい手。

「あっ………!?」

 その手の主を目で追う。


 この場に居るのはリムクラインだけ――。

「真緒様」

 守ろうとするように触れられる手。

 言葉より雄弁な手――。


 怖いのなら支えます。

 貴方は一人ではありません。

 私も居ます。


 たった一つの温もりなのにそこまで伝えてくれている。


「リム…」

 都合のいい言葉を妄想しているだけかもしれないが、この手の温もりが恐怖を取り除いてくれる。


「ありがとう……」

 ああ。


 好きだな。


 すとんと落ちてきた言葉。


 その人が居れば強くなれる。

 だから共に生きたいと言って龍帝に嫁いだ部下を思い出す。


 その人の為に強くなりたい。

 その人と一緒なら強くなれる。


 それが恋だと言っていた。


「まさか、実際にそうなると思わなかったな」

「真緒様?」

 魔王じゃなくなったから弱くなった。

 魔王のままだったら気付けなかった。


 ………弱くなって良かった。

 感謝する場面じゃないけど、感謝してしまう。


「リム。ありがとう」

 そっと笑う。

「真緒様…」

 リムが戸惑ったようにこちらを見てオロオロしている。それが可愛くて可愛くて――強張っていた心が柔らかく解されてくる。


「――しばらくその手を握ってて」

 その手があれば強さを維持できるから。


「真緒様。……強くなくてもいいんですよ」

 リムクラインの気遣う声。

「―-違うよ」

 強くなくていいのではない。

「リムが私を強くしてくれるんだ」

 素直に告げたのは無意識だった。


 後で、告白紛いな事を言ったと恥ずかしくなるがそれは別の話で――。 

ようやく恋愛として動かせました。

恋愛は読むのは好きだけど――それでも恥ずかしくなる事ある――書くのは苦手。

魔族組は誰かを好きになって強くなるのが多いと思う。欲望で強くなる種族だし

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