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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
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改めてみる魔の存在

気が付いたら勇者ハーレムに混ざっている王女と精霊王。

  第162話  改めてみる魔の存在

「……」

「………」

「……」

 

 静かだった。

 ただ足だけが機械的に動いていて、止まる事が無い。


 あんなに希望を抱いて向かえたのに。

 あんなに自分がしていた事が正しいと思っていたのに――。


『脆いな。人間って奴は』

 筋肉隆々な男性の姿に変貌している精霊王が生ける屍と化している勇者一行をどこか楽しげに眺める。

『信じていた物が違った事でここまで脆くなるとはな』

 精霊王の肩にはかつて生贄だった王女を乗せている。移動はほとんど徒歩だったのだが、危険地帯ではこうやって運んでいるのだ。

『…大丈夫ですか?』

 辛うじて生ける屍から回避していた魔法少女を労わる様に、杖から――正式には杖の中の逆鱗から――声が降ってくる。

「何が♡」

 にこにこと魔法少女が答える。

『…………ショック受けてないんですか?』

 龍の末っ子の声に魔法少女は、

「う~ん。まあ、ショックはショックだけど」

 信じていた事が崩れて行く事。

「今は巫女達ざまぁと言う方が強いかな♪」

『………』

 ルンルンと鼻歌交じりで答えてくれる。

『……そう言うものですか?』

「それに」

『……?』

「そう言われれば納得も出来るしね」


 魔法少女――魔法に携わる者達の教材は旧文明の書物。それを見て、独学で覚える者。師を仰いで、教わる者。

 そのどちらもひっそりと裏を通じての行動だ。

 そして。

 魔法を携わる者が表に出る時は大概。

 ―――-神殿からの異端者狩りなのだ。


「魔法に関する者は旧文明。旧文明を学んでいく内に神殿に目を付けられて処刑される。…………今思うと魔獣使いとかも独自で魔法を学んだ人間達なんだよね」

 ちなみに魔法少女は処刑を免れているのは、勇者一行の一人だと言う事実があるからだ。

 ………それでも一歩間違えると神殿に冤罪を掛けられて碌に調べられないうちに処刑される可能性もある。


「……ひた隠しにしたい事実がある。もしかしたら魔獣使いと言う存在も」

 そこまで告げると、目の前には魔王に城に向かう道が見えたのだが…………。


「勇者……」

 その道のはたくさんの魔物が居た。

 多いのは魔獣。

 次に獣人。

 流石に魔人は居ないが、道にひしめき合っている。


「”………………避難訓練みたいだな”」

 勇者が何かを呟いたが勇者の世界の言語だったみたいで分からない。


 ひしめき合っているが、列に並んで順番に進んでいく。

 少しずつ進んでいく列に他の魔物は焦ってない。


「人がいる……」

 ぼそりと勇者が呟く。

「えっ!?」

 慌ててそちらを見るとそこには魔獣と共に居る人。

 よく見るとちらほらと混ざっているのだ。


『ああ。成程』

『魔法少女さんの同類ですね』

 同類?

「……魔法に、魔術に携わってる者達って事?」

『はい。……恐らく、真実に辿り着いた者でしょうね』

 列の向こうには、二体のゴーレム。

 ゴーレムは人が居ても気にせずに通していく。


 いや、それを言ったら魔物の中に人が混ざっていたら……少なくとも人の中に魔物が混ざっていたら混乱するのに、魔物は――魔族はそれに対して何の反応もしない。


「「「「……」」」」


『――我が巫女よ。そなたの生贄時代はどうだった?』

 精霊王が面白がるように王女に尋ねる。

『悪さはされたか?』

 尋ねられた王女は――ちなみに巫女と言う言葉に本家本元のユスティ教の巫女が不快気に眉を潜めた――少し考えて、

「……そう言えば、されてなかったと思います」

 言語こそ伝わらなかったが食事も部屋も用意されていた。


 ただし、魔王の前に連れてこられるときは檻の中ではあった―ーのちにそれを尋ねたら、とある者が『生贄が最近斬り掛かってくるので、部下が警戒した』と答えたりする――。


『おもろいのう。人は自分より格下扱いしておったが、格下であるか? のう、勇者?』

 くすくすと勇者の答えを予測して面白がるように鈴を鳴らす様に笑った。



魔族の集団は物を貰うために順番通り並んでいるような感じです。

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