表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
172/290

人の記録

連続投稿。ノリに乗っているとこうなります

  第158話  人の記録

 勇者と魔法少女はそれをじっと見ていた。

「「……」」

 口を挟めなかった。


 自分達の倒した魔王が動いている。

 人の生活の中で気ままに遊びに来て、人を助けていく。

 異形な姿も気にせずに多くの人が彼を囲んで、彼もまた嬉しそうに接している。


 あの時の魔王城の魔王とは違い過ぎる姿。


 龍帝が遊びに来て、酒を飲み交わして、店に迷惑を掛けて頭を下げる魔王。

 冥王がこの地のある薬と自分の地の薬の違いを調べて薬師と語り合っているのを欠伸を噛み締めて聞いていて、やがて、こっくりこっくりと居眠りをする魔王。

 精霊王に貰った植物を育てられないと泣きついて育て方を聞いている魔王。


 ………………人間味溢れた魔王がそこには居た。


 多くの人に囲まれて、慕われている魔王に近付きたくても輪に入れない人間が羨望の眼差しを向けている。

 ……………そこまでの人気を得ていた。


 偽りだと言い切れたかもしれない。魔王を良く見せようとして騙していると、だけどそうは思えない。

 そう思うにはあまりにもその術で見せ付けられる魔王は強さを宿していた。


 映像は切り替わる。


 二人の少女が現れる。

 そっくりな二人。だけど、育った環境が明確に両者に差をつけていた。

「……ユスティ様」

 その顔はどちらがそうなのか分からないが、慣れ親しんだ女神のそれ。


 片方は貴族の娘と言うのをかさに掛け傍若無人に振る舞い、自分と同じ顔の少女をいたぶった。

 いたぶられた方は、痛みに耐えつつ、憎んでいったが、……やがて憎しみすら抱けないほどそんな毎日に慣れて行き、心が麻痺していった。


 二人はその関係のまま時が過ぎ、生贄の話が出てくる。


「生贄って、魔王の…」

 この映像の魔王からどうして生贄の話が伝わってこない。

『結界が出来たからです』

 魔法少女の杖――逆鱗からの声。

『結界の創生は水の無い所で決まった話なので、分かりませんが、多分その説明は……』


『冗談じゃないわよ!!』

 映像の中で少女が――貴族の方が叫ぶ――、

『外の世界の戦乱から守ってくれるための結界の維持のための生贄って、何で、それをわたくしが!!』

 外の戦乱?

『ですが、生贄の勇者と獣の王の契約で、結界の維持のために玉座から離れられない獣の王を慰めるために王を楽しませる生贄を差し出すのが古来からの…』

『なんで、それを!! 野蛮な動物にわたくしが仕えないといけないの!! そんなの他の者にやらせればいいでしょう!!』

 少女はそこまで言うと、

『ねえ、どういう基準で選んだの?』

『……国の持ち回りで、その生贄を求める時期で、魂の輝きが面白く、人の意識の中で強く印象を与える存在――それが基準だそうです』

 つまり、どんな形であり、有名な存在に興味を惹かれ合ってみたいと思わせる存在と言うのが選ばれる基準なのだ。


 ある者は、歌声が素晴らしく――。

 ある者は、面白い話を作り――。

 ある者は、珍しい染め物を生み出した。


 それとは逆に――。

 大罪人。

 異端者。

 愚者。

 と、呼ばれる者も生贄として求めた。


『なら、もっといい人材がいるわよ』

 そうやって、自分そっくりの娘を生贄と言う名を与えて、――捨てたのがしっかり映像として映し出された。




さてさて、そろそろ三人目の魔王候補の正体を出したいな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ