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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
三人目の魔王候補
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水の記憶

新章です

  第157話  水の記憶

 水琴の調べ――その名の通り彼は、水龍として水を操る。

 その彼が逆鱗を通して紡いだ術は、水を通して、その地の歴史に触れる事。


 龍帝ちちが命じたこの地域の違和感を調べる方法は、大地の名を持つ次男と水の名を持つ彼の得意な術だった。


 それを魔法少女に――もしかしたら魔法少女を通して勇者達が触れるのを期待して紡いだ。


 歴史と言っても次男あにのように細かく見る事は出来ないので、細切れに――真緒から言わせるとダイジェスト版――に見る。


 始まりは、獣の王が魔王になってからだった。

 白銀の狼は、老いた人に使われていたが弱って処分に困って捨てられた馬に出会う。

 本来なら食われるはずだったが、狼自体はその時は飢えておらず、結果助けたのだ。


 両者は言葉が通じないが友情を育み、やがて、馬は亡くなり――狼は亡くなった友を自分の腹に収めた。


 それが最初。

 次は狼が人の姿を取る様に――あくまで獣人程度だが――になり、人の姿でフラフラと動き回っていた時だった。

 ある人間の家族に出会った。

 子供は危険も承知で森の奥に入ったきた。

 森の奥に人間達の呼ぶ薬草があり、子供は病で伏した母親の為に採りに来たのだ。

 狼は興味深げに最近学びつつある人の言葉で尋ねる。

 父親はどうした?

 少年は告げる。

 母の薬代を稼ぐ為に昼夜問わずに働いて帰ってこない。

「………」

 身体が基本。

 弱ったなら見捨てないと自分が生き残れない環境。

 それが当然な世界に身を置いていたので、少年の答えが奇妙に思え――同時に興味を惹かれた。


 人では危険でも、狼のは危険でも何でもない――ましてや彼はこの地域のボス狼だ――誰も彼を止める事無く、薬草の場所まで向かわせて、薬草を少年に与えた。

 ―-ありがとう

 感謝された事が無かった狼の胸をくすぐった言葉。

 意味合いはその時は分からなかったが、少年の笑みが悪いモノではないと告げている。


 それがもっと聞きたいと思えた。

 

 些細な切っ掛け。

 それ以後、狼は時折現れては困っている者を助けていた。


 道に迷った者を案内して。

 怪我人に薬を渡し。

 道を塞いでいる岩などは退かす――。


 気が付くと狼は魔王――獣の王となっていった。

 名を持たなかった狼は、たまたま助けた人間からラーセルシェードど言う名を貰い、結界を作るまで気ままに自分の領土を見回りしていた。


 その途中隣の魔王――龍帝が人の姿をしていた時にドジをして、大怪我をしたのだが、たまたま連れていた部下が回復に特化していたので治療させると、龍帝が気が付くと部下を口説いて妻にしていた。


 平和な一時だった―――。




まだ続くよ

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