彼の選択
イメージは魔女狩りと思って下さい
第153話 彼の選択
助けようと身体が動いていた。だけど、
(間に合わない!!)
冷静に判断していた。
これから起こる惨劇に目を背けていると、
「―-ありがとう。シヅキ」
「――無理しないで」
女の子を抱いて庇うシトラ。そして、そんなシトラを庇い、全ての武器を抑えているシヅキ。
「ごめん。つい…」
「気持ちは分かったけど…」
二人は目を合わせ、
「行こう」
「はい」
と姿を一瞬で消してしまう。
「あっ………!?」
女の子を守るために逃げたのはよく分かった。
「追え~!!」
「逃がすな!!」
恐ろしい形相で追い掛けていく村人達。
そして、必死に神に祈りを捧げている夫婦。
「―-心配じゃないんですか?」
貴方方の娘ですよねと確認すると、
「あんな化け物。娘じゃない!!」
「私達の娘はきっと魔物に殺されたんです。あんな魔獣使いなんかじゃ…お許しください!! お許しください!!」
「入れ替わっていたのに見抜けず育ててしまうなんて…」
怯えたように祈る夫婦。
「勇者……」
女騎士が気遣うように声を掛けてくる。
「あの子見付けよう…」
見付けない方がいいかもしれないが、村人達に見付かる前に何とかしないと――。
「勇者!!」
魔法少女が魔法少女がちらりと巫女を見る。
巫女はぶつぶつと、
「だから、魔物は…」
と呟いている。
「ああ。置いて行こう」
巫女は、俺の意思よりも今は神に仕える身としての務めで動きそうだ。
闇雲に追いかけるのも大変だと判断して、魔法少女に魔力の流れを探ってもらい、転移の術を起動させれる準備をする。
「勇者。見付けたよ」
魔法少女の声に頷いて、転移をする。
「ここは……?」
まず、場所の確認。
そして、
「居た……」
二人の魔人と女の子。そして、天狼。
少し離れたところで固まっている。それを確認すると気付かれないように身を潜めて、聞き耳を立てて様子を伺う。
「シトラ。どうしますか?」
「そうだな。名前を付けただけで、魔獣使いとして殺される。納得いかないよな」
安心させるように頭を撫でるシトラ。
「今の状態だと、この子と天狼を離せないみたいだしな」
「ええ」
女の子を守ろうと傷を負っているのに警戒をしている天狼と天狼しか頼れないと言う様に縋っている女の子。
離れろと言う方が酷だ。
「仕方ないか……」
「魔王城ですか?」
「ああ。シヅキも聞いただろう。あの宣言は魔族として弱い種族を魔王城で保護しようと告げていた。それなら、この子達も保護してもらえるか尋ねてみてもいいと思うんだ」
「……そうですね」
試してみてもいいかもしれない。そう、期待するように告げて。
「―-という事なんで、俺らは先に城に向かいます」
「この子の事はそちらで何とかしてください」
こちらに気付いていたのだろう。二人はそう宣言して消えた。
その事を村人には魔物に殺されていたともっともらしい嘘を告げ――巫女はだからさっさと倒さないからと言われた――捜索を終わらせた。
「……あれで良かったのか?」
自分は知らない事が多い。
あの夢の自分の偽者にも同じ事を言われた。
何度もそう思ったのに学習能力が無いので――その都度女神の妨害が来ている事実を知らない――結局何もしてない。
だから、機会を窺う事にした。
これでしっかり妨害無しで決めれるといいね(遠い目)




