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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
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人と魔族の狭間に立つ者達

立場的には中立なんだよなこの二人

  第147話  人と魔族の狭間に立つ者達

 街の外れの森の中――。

「シトラ。どうするの?」

 シヅキが尋ねる。

「どうするって…?」

「……勇者とこのまま行動するの?」

 単刀直入に聞かれ、

「う~ん。それなんだよね~」

 魔族になったが元は人間だ。勇者に対して悪い印象は無い。勇者と言う色眼鏡を抜きにして、個人として少し話した事があったが――人間だった頃の話であるが――シトラからすれば、

「少し正義感が強いけど普通の子だよ」

 その正義感に力が加わったから厄介なのだが……そこら辺は気にしていない。

「シヅキは?」

 どう思う? そう尋ねると、

「………」

 どう返そうか迷っているかんじだったが、やがて、

「……人は怖い」

 と、答える。

「人は、魔族に怯えて、怖がっていた鬱憤をあたし達半魔にぶつけていた」

 魔族であり、人間。

 どちらの血も流れているのに。

「魔族は受け入れてくれた。街が魔族を奴隷にしていたのもあったけど、魔族は魔族同士で助け合って、その助け合う存在にあたし達半魔も入れてくれた」

 冷遇するわけではなく、不満をぶつけるわけでもなく。

「人の中では優しい人もいたけど……」

 その人達は魔族と繋がっていた裏切り者として殺された。

「それをしたのは上位の魔族…魔人でも?」

 その理屈で言うと、元凶は魔族なのに。

「そう言えば……」

 そうだった。だけど、

「実際に危害を加えたのはヒトだから」

「………」

 そう言えばそうだけど、複雑だ。

「俺がおかしいのかな」

「……欲は必要だよ。魔族は欲が強ければ強いほど強くなるから」

 そういう意味ではあたしは魔人となったけど異端だ。

「あたしは…シトラといられればそれでいい。シトラの願い。望みを叶えたい。そう思ってしまうから魔族として…今は上位である、魔人なのがおかしいんだ」

 そう告げる言葉に、

「せっかく自由になったのにもっと望んでいいんだよ」

「………願いは叶えてしまったから」

 魔族にとっての根源。全ての父であり、母。

 ――魔王。


「……そういえば、あの姿」

 詳しくは言わない。…言えない。

「――はい。あれは」

 新庄真緒だった。

「でも、彼の方は…」

 勇者に倒された。その事実が魔王であったが今では魔王ではないという事を知らしめている。

「………………ねえ、シヅキ」

 魔王が居ないとどうなるの?

「…………………根源が無い。つまり魔族と言う存在は魔王と言う存在があってこそ存在意義があるから。暴走するのが近いかな」

 と言いつつも少し違う気がする。


 ……でも、どうなるのか分からない。

 説明できない。だけど、妙なもやもや感だけそこにあった。



一番平和な魔王候補(笑)

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