表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
159/290

宝物

幕間久しぶり……

  幕間  宝物

 彼は宝箱を見つめている。

「綺麗ですね……」

 ずっと、欲しかった。

 自分のモノに居たかった。


 月を集めたような白銀の髪は腰まで伸びていて。細く、揺れるたびに光を宿す。

 肌は雪のように白い。きめ細かい。

 瞳は閉じられているが、何よりも尊い紫。


 そして、何より、髪と同じ色を宿す狼の耳と尾。


 さらっ


 その絹糸の様な髪を一房掬い。

「愛してます」

 と告げるが、答えてくれる声は無い。


「――つれないですね」

 魂の宿ってない身体。

 本来なら肉体は崩れ、消滅していた亡骸。

 答えないのも当然である。


「ようやく、貴方の魂を見付けましたよ」

 この地の全ての存在に見せ付けた姿。性別こそ違えぞ。この姿であった。………その姿が目晦ましであれ、今の姿であれ、魂の輝きは自分を引き付けたモノそのままだった。


 その時の喜びをどう表現すればいいのか。


 勇者に倒されて、肉体は回収したが、まさか魂を逃がすなんて失敗をするとは思ってなかった。自分の甘さが招いた結果だ。

 欲しいのは魂を含んだ彼の者。

 絶望に沈みかけていたが、

「貴方はお優しい方ですね」

 私の為の戻ってきてくださるなんて。

「安心してください」

 髪に口付けをして、

「今度こそ逃がしません」

 誓う声。


「せっかく、貴方を私だけのモノにする機会です。手に入れてみますよ」

 長かった。

 一目見た時から魅せられた。

 魂を奪われた。

 だけど、自分では遠すぎて近付く事すら出来なかった。

 だから、策を巡らせた。

 自分だけのモノにするために。


「ユスティ様。勇者。私の願いの為に踊ってください」

 そして、

「高位の方々。舞台を面白くさせてあげますので手出しは控えて下さいね」

 じっと、自分を見ている存在に気付いていた。時折、囁く声も届いていた。

 楽しませるならいいわよ。

 声が告げた。

「――ええ。十分楽しませますよ」

 そう幻聴のように聞こえた声に返答をして、

「また来ます。――今度は魂を入れてあげますね」

 と、宝物――獣の王ラーセルシェードの亡骸に告げた。

 


真緒 ゾクッ

リム「真緒様?」

真緒「いや、なんか寒気が…:;(∩´﹏`∩);:」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ