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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
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神殿

主人公達置いて行き感

  第144話  神殿

 ユスティ教総本山。

 通称大神殿。

 

 神官。巫女にとってはここで働く事は栄誉であり、信者は死ぬ前に一度は期待と渇望する地。


 そこでは今表に――信者に見せられない混乱が起きている。


「神官長様!!」

 信者達から寄付され、喜捨されていた多くの金。財宝。それの中で埋もれている一人の神官――第神官であるその人の元に彼の取り巻きが慌てて報告に走ってくる。

「どうした!! ここに居る時は誰も入るなと命じたはずだ」

 神官長は財宝の中で瞑想――単に金の山に埋もれて、その財宝に欲を満たしているのだが――中は誰一人入ってはいけないと人払いしていたのに、その命令を無視しての行動を咎める。

「申し訳ありません!! ですが…」

 取り巻きも神官長の下で甘い汁を吸っていたので、ここで神官長の怒りを買いたくはないが、非常事態だ。

「まあ、いい。――報告は?」

 金を放り投げ、そん金が当たる感触を楽しみつつ、仕方なく報告を聞く事にすると、

「新たな魔王の出現で、信者達が…!?」

 ユスティ様のご加護。ご意志でこの地に来た勇者――魔王を倒して世に平和をもたらした――。

 その謳い文句があったので、信者達は神殿に次々と喜捨する。

 ――お金が降ってくると同義だ。


 質素倹約。

 欲を捨てるべし。


 そう信者達に教え、諭している神殿の――その上の者達は喜捨された金を私利私欲に使用していた。

 だが、

「民衆の心が神殿から離れています!!」

 その報告に流石の神官長は財宝に伸びていた手を止める。

「何…だと…!?」

 驚愕。

 慌てて取り巻きを見ると、

「はい。民衆曰く、勇者のせいで生活はより苦しくなった。魔王が居た方が平和だった。と――」

「愚かな。――今は変革の時。変革が終われば混乱も収まって、真の平和が訪れると言うのに」

 ちりん ちりん

 信者から集めた金から仕方なく離れて、詳しい報告を求める。


 曰く――。

 今まで、魔物は近付かなければ襲ってこなかった。だが、勇者が魔王を倒した矢先に問答無用に襲ってきた。

 曰く――。

 今まで、見た事の無い化け物が切りがあった向こうから襲ってきて、その対抗策に国は動いてくれない。

 曰く――。

 植物が出来にくくなり、食べ物が手に入らないのに、税金や募金で取られてこちらの生活が成り立たない。


「今まで、変革の時は苦しいのが当たり前だと言われていたので我慢できたが、先日のあの魔王の出現…」

 民はまた苦しい生活が来るのかと恐れた。だけど、

「今まで、自分達を襲ってきた魔物が消え、化け物に襲われたと言う人々が魔物に助けられたと報告が上がってきていまして……」

 自分達の知っている事は間違っていたのでは。

 そう疑問を抱き、その結果。


いにしえの教本を手に入れた者が現れたのです!!」

「古のだと…!?」

 馬鹿な。それは見つけ次第焼き払い、壊してきたはずなのに。

「事実です…。そして、神殿で学んだ事が偽りだと知らされて……」

 言葉も変わった。字など伝えていない。それなのに何故!?


「――動じる事はありません」

 静かな声が、降ってくる。

「あっ、貴方様は!?」

 そこに現れたのは壮年の男性。ここに居る誰よりも質素な姿をしている。

「教祖様!!」

 ユスティ教最高司祭。

「これも恐らく神の試練。そして、かの魔の支配者の策略です」

 静かに穏やかに周りを落ち着かせる声。

「貴方が動揺しているのなら信者はもっと不安でしょう。――落ち着かせてきなさい」

 財宝に囲まれている神官長を咎めず、諭すように――洗脳してこいと命じる。


「はっ、はい!!」

 慌てて去っていく神官長。

「――やれやれ」

 それを目で見て、

           ・・・・・ 

「悪足掻きですか。――ユスティ様?」

 どこか面白がるように彼は、神殿のシンボルである聖ユスティの像に視線を送った。

ユスティ「こんな信者が上に居るのよ。神様辞めたいのも分かるでしょ!!」

真緒「うん。同情はする」

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