それを見ていた者 精霊王
精霊王様再登場。とは言いつつもこの人コロコロ外見変えます
第138話 それを見ていた者 精霊王
精霊王はその時の気分で姿を変える。
男の時もあれば、女の時もあり。
成年の時もあれば、老年も幼年もある。
時折、女の格好をした男になったり、男の格好をした女になったり出回りの反応を楽しんでいるかの存在が今しているのは男性。しかも、十代のそれ。
かつての生贄。今聖女とさせた自分のお気に入りに合わせたのだ。
「何に向けての宣戦布告なんだろうな」
くすくす
その何を知っていてのわざと惚けている。
彼の者は自分のお気に入りを通してこの地域の異常に気付いていた。
魔王。
それは、欲深き存在がその欲に寄っての進化の最終形態。
精霊王。
龍帝。
冥王。
そして、
獣の王。
魔王であるのは同じだが、あえて魔王の名称を言われてなかった。
少なくとも精霊王の治める地域ではそうであった。
魔王と言う名称にいい印象は人間は持たない。
魔王と言うと人間は恐怖の対象として見る故に、精霊王とあえて呼び――まあ、そう名乗っても居るが――人間の敵ではないと人間自身が誤魔化している。
まあ、精霊王が人間に対して無関心に近い状態だからこそ、人間達は害が無いと納得して上手い具合に共存していられるのだろう。
魔王と呼ばれ退治される時がいつかは来るだろうが、今のところそこまでの無茶はしていない。
大体、魔王と呼ばれ退治されるのは魔王自身のやり過ぎが原因だったりする。――まあ、人間達が進化を――この場合文明――止めて、世界が停滞するのを防ぐために勇者が誕生すると魔王の中では暗黙の了解だが――。
この地域はまだ人間達が環境に甘んじて停滞するほどの事は起きていなかった。
この地域の魔王――獣の王は慈悲深いと呼ばれるだけあって、人間に寛容であるのに人間にここまで敵意を持たれる。
そんな魔王相手に勇者を召喚するという事自体妙なのだ。
「高位の者も何したいんだか」
まあ、高位の者は基本的には地上の事は不干渉。
好き勝手やっているのは一部だろう。
「その一部に喧嘩を吹っ掛けたか」
ほんと面白い。
面白いので、この遊びに加わってもいいだろう。
決めるのが早いか自分のお気に入りに向かって告げる。
「人間と話をしたいと言ってます。向かいましょう」
と――。
次はどちらの王かな




