玉座の間
哀愁
第135話 玉座の間
城は静かだった。
かつてここは玉座から降りれない王のため多くの魔族が王のために働いていた。
でも、もういない――。
「ここに居た者達は勇者から魔王を守ろうと死んでなくなった」
死にたくないものは逃げただろうが、魔王を守る事以外考えて無い者もいた。
「………」
無念だっただろう。だが、
「いつまでもここに留まる必要はない」
命じるように告げると、
「えっ!!」
巨大な魔力の流れが城のあちらこちらから現れて空に上がっていく。
「真緒様…?」
「死んだのにまだ精神と言うか魂がここに留まっていたんだ」
ただの力の流れとしか認識できなかったリムクラインの動揺に答え――ちなみにアカネは動揺してなかった。狐は幻術に強いと言う思い込みが私の中にあるからそういうのは強いのかな?――消えた魂に追悼の意を示す。
「死者には寛容だから。大丈夫だろう」
行先は冥界。冥王の支配下。
「えっと、冥王様って今侵略してませんか?」
「あいつ生者には手厳しいからな」
「………そう言うモノですか?」
突っ込みたい様だが、それに関してはとりあえず黙秘をして、
廊下を進んでいくと巨大な扉。
「ここだな…」
きいいいいい
扉を押し、中に入る。
「こうやって見るのは新鮮だな」
大広間。
深紅の絨毯。
一段上がった所には玉座。
――玉座の間。
「こんなに広かったんだな」
ゆっくり。ゆっくり進んでいく。
ここには様々な魔族が居た。
熊型。
キリン型。
サイ。
象。
みんな入れるように天井も高くした。
「懐かしいな……」
玉座の目の前に立つ。
そっと触れる。
バチッ
「真緒様!?」
「ありゅじ!!」
動揺してこちらに寄ってくる二人。
「大丈夫だよ」
二人に告げる。
「……玉座に触れる資格なし。そういう意味だから」
勇者に倒された時点でもうこの玉座に相応しくないと玉座自身が判断したのだ。
ここに触れられるのは魔王を倒した勇者と次の魔王。
次の魔王(候補)も勇者も同じ存在だと言うのに色々モノ申したいが、それどころじゃない。
「さてと」
玉座の抵抗に耐えて、腰を下ろす。
「――始めるか」
多分。これが魔王であった私の最後の仕事だろう。魔力がもう尽きる寸前なのを誰よりも理解していた。
うんしょ。こらしょ
真緒「玉座大きいな…」
*登ってます




