魔王城門番
もうゴールしていいよね
第134話 魔王城門番
「見えた」
辿り着いたのは壊れた城門。
綺麗に積み上げられていたと思われる煉瓦は破壊され、門の飾りがあったと思われる物は剥ぎ取られ、略奪された痕跡が残っている。
「ここまでとは思いませんでした……」
リムクラインが呆然と呟く。
「だね…。飾り一つ一つが宝玉だったからな。中には魔力込めたのもあって二重結界の役割を兼ねてたんだよね」
今頃好事家の手に渡っているんだろうな。
「せめて、結界の有った付近の住民の所だったら強度こそないけど結界の役割出来たんだけど……」
言っても栓が無い。
ため息を吐いて、壊された石のオブジェに視線をやる。
「真緒様?」
リムクラインの呼び掛けに答えず。石の方に近付く。
「これは、門を守る様に創った番人だったんだけどね…」
そっと触れる。
『ゴーレムだ。倒すのが大変な割に経験値稼げないんだよな』
『経験値?』
『あ~。なんでもない。さっさと倒すぞ』
「………」
触れただけで、生前の記憶が読み取れる。
「はあ~」
浮かばれない。そう言われた気がする。
そう言えばもう一体あったよな。
きょろきょろと見渡して、それらしい固まりを見かける。
「………」
その固まりに近付いて触れる。
『まだ。居るのかよ』
『これも手強いですね』
『所詮石の固まりです。さっさと壊しましょう』
『動きは単純だから壊すのは楽ショーだな』
「………」
うん。ごめん。
馬鹿にされるように作ったつもりはなかったのにな。
「………真緒様? 何を?」
リムクラインが尋ねようとするのを手で制して、
「”白き身体。その身体は強靭。その腕は侵略者から守るためだけにあり、その強さは慈悲の元振るう。我が名ラーセルシェードが汝に名を与える。汝の名は《白磁》”」
宣告すると同時にごっそりと抜けていく魔力。
「我が君!!」
リムクラインが怒鳴るのを無視して、先の一体にも近付き、
「”青の身体。その姿は柔軟。その足は侵略者を足止めするためにあり、その強さは慈悲の元振るう。我が名ラーセルシェードが汝に名を与える。汝の名は《青磁》”」
再びごっそり魔力を抜かれる。
だが、
「「我が君」」
頭を下げる二体のゴーレムを見て後悔はしない。
「先の戦いで私を守ろうとしてくれたのは感謝する」
眠りから起こしてしまって申し訳ない。
「再び侵略者から守ってもらいたい」
「我が……真緒様?」
「結界を作動させる」
それを邪魔されたくない。
そうこちらを案じ叱ってくれる忠臣に告げた。
真緒様の目的。
結界の回復。




