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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
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私怨

真緒様自覚無いけど愛されてます

  第129話  私怨

「同朋が勇者を襲ってる?」

 魔王城に向かう途中――勇者とかち合わない様に別ルートだ――リムクラインの報告を受ける。

 因みに道は勇者が知らない――知っていても罠だと判断したのか――一番楽で安全な道を進んでいて、危ない所はアカネが人の姿になって排除してくれる。

「勇者を襲うなと言ったのに…」

 別に勇者が心配だからではなく、同朋達じゃ勇者に敵わないからだったが、それなのに勇者を襲う……。


「――察してあげて下さい」

 リムが報告こそしたが同朋の行いは理解できると言外に告げる。

「リム?」

「我々は敬愛する方を奪われました。今はここにおられて安堵した者が多いのに先日の一件です。……亡くしたくない、守りたい。――そのためなら敵わないと悟っていても排除したくなるものです」

 我が君は理解できないお心かもしれませんが……。

 そう告げられて、

「……私は何ともないのに?」

「転生した貴方がおっしゃる事とは思えません」

 確かに転生――殺されている――けど、

「今は生きているのに?」

「殺されそうになったのは事実です」

 諭すように言われてしまった。

「………もう、王じゃないのにな」

 王の記憶がある。知識も魔力もある。だけど。弱体化しているし、新たな魔王候補もいる――しかも勇者が魔王候補だ――私にこだわる必要はないのでは…?


 はあ~

 ため息を吐くリムクライン。

「リム?」

「……真緒様。私達を恩知らずにしたいんですか?」

 恩知らずって…?

「襲っている者達は真緒様が助けた魔族達ですよ」

「………………はい?」

 助けたって、そんな助けたっけ?

「城で捕らわれていた者達。人間と共存と言う名の奴隷にさせられていた者達。……かなり数はいますよ」

 そんなに多かったのか。でも、

「城は、リムに命じただけだし、街では、フェルテオーヴァに頼んだだけだけど…」

 そんな大した事してないけどな。

 はああ~

「…………あなたと言う人は」

 深く溜め息吐かれた。

 呆れてると言うかのように、

「ご自分の価値を分かってませんね」

 と言われてしまった。……それはいいとして――いや、本当はよくないけど――人って言っていたからきちんと認識としては人でいいんだな。魔族か人か分からなくなりそうだったけど。

「……一応分かっているけど」

 元魔王。

「魔族は欲望で進化する生き物だよ。そんな元魔王にこだわって進化を止める必要ないけどな」

 街を支配していたあいつも魔王わたしにこだわっていたから魔王になれなかったのに。

「………理解してますよ。みな」

 微笑うリムクライン。

「リム?」

「私怨で、あるという事は理解してます。貴方の命令を無視してる。…それでもしなくては自分の中で折り合いがつかないんですよ」

 折り合い…。

「…………文句言えないな」

 私怨。

 かつてお気に入りの生贄を救い出して結界を揺るがした事。

 王としてはしてはいけない事だったが、個人ラーセルシェードとしては何のしない事が出来なかった。

「……程々にしなさい」

 それが分かってしまったからそれぐらいしか言えなかった。



魔族が勇者を襲いだしたのはそういうわけで、それが勇者の魔王化を進めている事を真緒様は知らない

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