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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
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魔族

話が暗い…

  第128話  魔族

 勇者達が魔王城を目指して進んでいる。

「………」

 道は間違ってない。同じなのに。

(あの時と全く違う)

 あの時の勇者は希望を抱いていた。

 魔王を倒せばみんなが幸せになる。

 そう信じていた。


 でも、魔王を倒して、平和になって、もうこの世界に用は無い筈だったのに。再び呼ばれて見たのは魔王が居た方が平和だった世界。


 霧に囚われた世界は、霧が晴れると侵略者の狙われる地になった。

 統制が取れていた魔物達が魔王と言う存在を無くした事でここに暴れ被害が増えていた。

 対魔王と言うので一つの纏まっていた国々は今は自国の利を求めて争っている。


「勇者……」

 魔法少女はどんな状況でも真っ直ぐ諦めない勇者が好きだった。何があっても笑顔で大丈夫だと言ってくれる勇者に何度励まされたのだろう。

 それは自分だけではなく、巫女も女騎士もそうだと思っていた。

「勇者……」

 勇者の笑顔を最近は見ていない。

 何があっても大丈夫だと安心させてくれた笑みは暗い笑みに変化していた。


「勇者……」

 声を掛けようと手を伸ばし掛けたが、

「っ!! 魔物!!」

 魔力の流れを感じて警告を促す。

「みんな魔物が!!」

 その声に合わせるように、巨大な熊の獣人が現れる。

 人間部分に鎧を纏い、大振りの斧を手に持っている。

「”許さない”」

 以前はただの雄叫びにしか思えなかった声も《水琴ヴァッサー》から貰った逆鱗と言う魔法道具によって二重に重なるように声として感じ取れるようになった。

 だから、

「”許さない。我が君を。我らの王を奪った”」

 ただ襲ってくるのではなく、意志を持って向かっている相手が勇者だと知っていての行動。


 魔物は知恵が無い。獣以下だと言われていた。でも、言葉が理解できるようになると――。


「”勇者を倒す。我が君の敵を討つ”」

 はっきり伝わってくる。

「勇者……」

 伝わってくるからこその躊躇い。

 勇者の表情が歪む。

「俺は…」

 何かを言いかけて、攻撃しようとする手が止まる。だが、

 りいいいいいいん

 勇者の剣が許さないとばかりに警告音を放つ。


(ああ。まただ)

 勇者から表情が消える。

 感情を消し去って、迷いもなく魔人を倒していく。


 このヒトは誰だろう。

 自分の知っている勇者ではない。

 勇者にも聞こえていると思うのに。

 勇者は、言葉を交わせるのなら話し合えば分かりあえると。そのために努力してきたはずなのに――。


「流石勇者」

「お見事でした」

 称える二人は気付いてないのか。勇者が倒す度にそれを称える度に勇者の、勇者たる輝きが消えているのに。


 ぎゅっ

 縋る様に杖を握る。

 すると、杖が…杖の中の逆鱗が慰めるように優しい力を放った。


「「……」」

 そして、そんなこちらの様子を忌々しいと言う様に見ている存在に気付いてなかった。 








安西先生。ギャグを入れたいです

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