情報整理
主人公の帰還
第127話 情報整理
「つまり……」
情報を整理しよう。
「勇者が侵略者を殺していて、それをハーレムは止めてない…」
「はい。侵略者は侵略者。勇者の守る人ではない。…そういう判断です」
だからって、人殺し…。
「……リム」
「はい?」
アカネをもふもふしながら、
「勇者の居た世界…。新庄真緒が生まれた世界でもあるけど………そこでは、私の生まれた国では戦争をしない宣言をしているんだ」
「戦争をしない? それでどうやって身を守っているんですか!?」
「………それが甘いんだけどね。一応自衛隊と言う国を守る組織はあるんだよ」
その自衛隊の存在すら悪だと責める者もいるし、海域を無断に入って来てる他の国の対応も甘いのもあるが、
「まあ、それはともかく、勇者は人を殺した事無いのに殺してるのがね……」
罪と感じるか当然だと思うのか。
「少なくとも…新庄真緒は人を殺した事に対して色々想う事があるんだよね……」
ただし、そこにラーセルシェード(わたし)の感覚もあって、
「人と魔族。どう違う。生きるために殺すのなら必然である。とも思ってしまってね」
複雑だ。
「……我が、真緒様はどう思うんですか?」
我が君と言い掛けたな。
「それがね。分からないんだよね。……女神の考えが」
そんなの簡単に分かっても困るが、
「……我が、真緒様は女神に何を?」
「……新庄真緒じゃなくて、ラーセルシェード。お気に入りの生贄に酷い目に合わせたから呪いを掛けたの。その後しばらく引き篭もっていたからその間に様変わりしていて、気が付いたら勇者が現れるわ。大変だったわ」
他人事なのは記憶が曖昧だから。
「他人事ですね……」
「まあ、その報いを受けたんだろうけど」
勇者に倒された事はその大きな報いだ。
「勇者…次の魔王候補がどう動くかでこの地はどうなるか分からないからな」
ほんと女神は何したいんだろう。
自分の呼び出した勇者が魔王化したら女神としては失墜するし、女神――神と名乗っているのならこの地の者を守るはずだ。
守る気もないし、勇者の魔王化を推し進めている。
「高位の者が近くに居ると思うのに何しているのやら……」
世界が滅んでもいいのか。
「真緒様」
「――クー」
そっと名を呼ぶとクーの腕――足?――が絡み付いて居るのが実態として見える。今までずっとくっ付いていたが、動きの妨げにならないように実体化していなかったのだ。
「二つに裂けて、一つは勇者を探れ」
命じる。クーの足が二つになり、無事に分かれる。
「これで勇者の足取りを掴めるといいけど…」
勇者に気付かれないように気を付けなさいと告げ、再び空気に溶け込ませて、実体を消させた。
高位の者「分かっていて面白いから離してのよ」
鵜飼のイメージです。




