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龍の娘と巫女の会話をここで発表
第126話 少し前の話
巫女は、侵略者を倒していく勇者を誇らしげに見ている。
「巫女。女騎士。どうして止めないの!! あんなの勇者じゃない!!」
魔法少女が騒ぐが何を言いたいのか分からない。
「相手人なんだよ。人は殺したくないと言っていたのに!!」
「綺麗事だな」
反論するのは女騎士。
「相手は侵略者です。殺さなくてはこちらが殺されます。………大切な者が殺されそうでも同じ事言えますか?」
巫女が正論を告げると魔法少女が黙る。
「………勇者が以前。話し合えば分かるはずだと…それでも理解出来ないのなら動きを封じるだけでいい。殺さなくてもいいと。だが、それは理想論だ」
女騎士が告げる。
「動きを封じれるのはゆとりがあって実力が高くないと不可能だ」
そんなゆとりは今の勇者にない。
そう言外に告げる。
不満そうな魔法少女に、
「異郷の者など、言葉が通じないのだから同じ人とは言えないでしょう」
巫女からすれば、神を信じて無い者は同じ人とは思えない。
そう――、
『私は、この地域の神を知らない』
神殿であの龍の少女が淡々と、
『勇者と魔王…対になる存在が居て、倒した押される。それはある意味決められた事だけど、私はこの地域の神のやり方は気に入らない』
神を侮辱するのかと反論しようとするが、
『勇者は、戦い慣れている人間だったんですか?』
この世界に呼んだ時は、
『それは……』
戦いの無い平和な――日本には無いだけだけどね(by真緒)――世界だと聞いていた。
『戦いを知らないのに元の世界から引き離して、元の世界に返してほしければ魔王を倒しに行け、そうやって脅迫して、倒せたからいいものの倒せなかったら使い捨て。この世界の常識一つも知らないから召喚した者の都合のいい知識を教えられる。ホント都合のいい存在ですね』
貴方達の神の勇者は。
『勇者の存在は否定しません。魔王……支配者のやり方に納得いかないから武器を取る。それも良くある話ですが、武器を他人に押し付けて高みの見物。そして、押し付けたのはそちらなのにまだ問題があるから片付けろと責任を取らせる。そんな為政者もその為政者の意思に答える神も本当に神ですか…』
神を…ユスティ様を侮辱するその言い草。
そして、戦う意思を植え付けられたものだという事が勇者を侮辱している事の同義だ。
侮辱だと感じて、怒りを覚えたが先日目の前に女神が降りられた。
――惑わされてはいけません。わたくしの愛する子よ。魔物の言葉は毒の言葉。惑わし躊躇わせて力を奪う。……かの魔物の勇者も同じ
優しく導くような声だった。
侮辱だと感じるのも魔物の攻撃がである。冷静になりなさいと洗脳を解きようにわざわざ降りてまで告げてくれる慈悲深い我らの神。
なんてお優しいのだろうと感激した。そして、常に見守ってくれている事実が誇らしかった。
――わたくしの可愛い子。お聞きなさい。かの魔物の勇者がわたくしの勇者の力を封じました。それを救えるのは貴方だけ
託すような声。信頼され、信じてもらえる。
それが誇りに思える。
元々、魔物の勇者――新庄という存在はうさん臭くて信用できなかった。
なので、勇者の前から消すのに躊躇う事は無かった。
まあ、一応女騎士にも話を付けた。
『そうだな。お前の話はともかく勇者は彼の者に気を付けて冷静さを失っている』
邪魔だと感じているのは同じ。そして、新庄が必死に冷静になって魔物の事を理解させようとしているのを逆に冷静さを失わせていると思っていたから。
勇者が倒すのに躊躇うのなら勇者の負担を無くそう。それが二人の――魔法少女は数に入れてないあの子はもう誑かされて手遅れだと判断したのだ――考えで、罠にかけて、勇者の負担にならない様に始末したのだった。
ユスティ「計画通り」
真緒「何回目? そのどや顔」




