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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
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壊れていく音

勇者は英雄になりたい

  第125話  壊れていく音

 目の前にはまた妙な空間。

 ……いや、違う。


 様々な武器。

 剣。

 槍。

 弓。

 銃。

 武器はどんどん増え、すでに会った武器も手入れされていく。


「……」

 武器の一つを手にする。

 持ちやすく使いやすい。


 何故、使いやすいかと知っているのかと言うと最近になって現実の世界(?)で襲われやすくなったのだ。

 魔獣や獣人と言うこの地域に元から居た魔物。

 よその地域から入ってきたと思われる魔物――最初に城で聞いた時は植物系も龍系も居たのに今襲ってくるのはアンデットとかが多い。

 そして――、人間。

 

 この地域の人間と異なる言語を話す人々はこの地の住民を苦しめている。

『勇者様』

『勇者様。助けて』

『勇者様』

 縋る声。

 伸ばされる助けを求める手。


 タスケテ

 たすけて

 助けて


「助けて!!」

 

 悲鳴と共に走り出して、襲われれた人々を助けていく。

 人間相手には勇者の剣が使用できないので途方に暮れていたらどこからともなく武器が現れた。

 そう、この妙な空間に置いてある武器だ。

 どれだけ使用しても刃毀れ一つせずに次々と倒せる優秀な武器。

 

 これがあれば救える。

 これがあれば戦える。


 これがある限り。俺は――。


『俺は、英雄でいられる』

 すっ

 武器庫の奥に人の気配。

『またかよ!!』

 ここに来るたびに現れる自分とよく似た人間。

『お帰り英雄さん。今日はどれだけ殺したんだ』

 茶化すような声。

『まあ、今日もたくさん殺したんだな』

 返り血で染まった姿を眺め、今日使用した武器も同様に血がこびり付いているのを確認している。

『まあ、たくさん救えてよかったな。英雄さん』

 言葉は褒めているけどその眼差しは馬鹿にしている。

『――何が言いたい』

 こいつは何者か分からないが常に自分を責めるような事を言ってくる。正直不快だ。

 持っていた剣で攻撃したいと思った事もあったがそれをしてろくな目に合わないと言うのは物語ではよくある話だ。


『いいこと教えてあげようか』

 いい事と言いつつもこいつの言う事は碌な事が無い。

『戦争すると勝った方は殺した人間が多いと英雄。負けた方は多くの未来ある人間を殺した罪人。その差はたったかったか負けたかの違い』

 やっている事は変わらないのにね。

『正義であり続けるつもりなら勝ち続けないとね』

 何が言いたいのか分からないが不快な奴だ。


 感想はそれだけ。

 

 それが忠告だと、まだ気付いてなかった。

人を殺すのに躊躇った勇者はそこに居なかった。

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