しばしの休憩
ようは真緒様の萌え語り
第124話 しばしの休憩
アカネが戻ってきたのは橋から落ちてしばらくたった頃。
濡れていた服が渇き――そう言えば私の服って、ずっと制服だった。勇者は着替えとかあったけど、必要最低限の者しか用意されてなかったな――大分落ち着いた時だった。
「お帰りアカネ」
私が声を掛けて迎えるのと、
「アカネ。どうだった?」
とリムクラインが声掛けるのが重なる。
「……」
そいえば、リムクラインはアカネを普通に呼んでいるな。身分とか考えるとリムクラインが上だからそんなものかなと思うけど、魔族って、あまり名前呼ばないんだよね。……魔王を含めて。
格下を認識する必要が無いと言う考えの者も多かったし、覚えるのが面倒だと言うのもあった。
因みに魔王の場合は、直属の部下だけでも覚えるのが多かったのだ。
「アカネは私と同格ですよ」
その疑問が顔に出ていたのか――後日顔に出てなかったが、アカネ共々どちらが私の感情を正確に当てるかと言う戦いを常にしているので私の感情検定試験があったら合格できるぐらいの能力を得たと言っていた。…正直恥ずかしい――リムクラインが答え、
「ありゅじ」
と舌っ足らずの――正直萌えた――口調で、狐耳尻尾の可愛らしい女の子――小学生低学年ぐらいかな――に姿を変えた。
「かっ…!?」
あまりの感動に声が出ない。
赤金色の髪の毛。大きな黒い瞳。
ちょこんと首を傾げるその仕草が、萌えの具現化した姿かと――正直、ロリコンのお兄さんに攫われないか心配になるくらいの――可愛い姿。
大人になったら可憐な美少女になりそうな――すでに片鱗があるが――可愛らしさ。
「可愛い~!!」
ギュッと抱いてしまった悔いは無い。
名前を付けてしまった影響だろう。魔獣から魔人――獣人じゃないだろう――に進化してしまったのは。
「我が君が常にアカネを連れていたので、我が君に相応しい力を得ようとした結果がこれです」
そうか。それでもふもふ獣姿と萌え萌え狐耳尻尾があるんだな。納得したよ。
「その理屈で行くのならクーも人の姿を取れるんじゃ……」
もしそうなら淡い水色の天然パーマのヴァイオリンを持ってそうな天使みたいな外見のショタがいい。
「流石にクーは別行動をしているのでそれは無理かと…」
「そうか」
それは残念だ。
見たかったな。ショタ。
アカネを抱いたまま可愛がりまくっていると、
「私も両方の姿を取れれば…」
ぼそっ
何かリムクラインが呟いたような。
ふふん
何かアカネが誇らしげのような…。
「……」
気のせいか。
気のせいだよね。
両者の間に火花が散っているとか……。
うん。気のせい。気のせい。
と現実逃避をしつつ。
「あっ、そうだ」
思い出した。
「アカネ。勇者達は」
知りたくないけど知りたいような…。不安だとか心配だとか気になってしまう。
「………我が君」
リムクラインが優しげに――因みにリムクラインは中性的な…漫画とかである笑わない人形みたいな美人だけど笑うと破壊力ある系だ――目を細めて告げてくるのに、
(私を萌え殺してくるのか…)
とあまりの破壊力に鼻血が出そうになるのを気力で抑えた。
真緒様はもふもふ以外も好きなのがありました。
因みに勇者は少年漫画の主人公タイプで、リムは乙女ゲータイプです。




