イケメン万歳
目指せリムクラインと真緒様のラブフラグ
第123話 イケメン万歳
泣いた。
泣いてしまった。
「………」
うん。
(は、恥ずかしい……!!)
この年になって――肉体的年齢の話で――人前――人じゃなくて魔族だが――で泣くなんて……。
「我が君?」
こてんと首を傾げてくるイケメン――しかも好みの顔立ち。
ここで恋愛フラグが!!
とボケればいいかもしれないが、感覚的に――魔王だった意識的なもので――そこでどうしてそういうボケに入れるのかと自分で自分に突っ込みを入れる。
それよりもこういう時どんな反応をすればいいのか。
…………何となく今の自分の感覚は人間よりに近い。
魔王寄りの意識だったけど、少しずつ人間の意識が強くなってきたような……。
魔王の力が弱まったからかな。
「我が君?」
もう一度尋ねてくる声。
ああ、声もいいな。
私好みの声。
好きな声優さんの声に近いと言うか…。
やっぱ、名前を呼んだから私の影響で私好みになったのかなと考えてしまうが、声は元からこうだったなと考えを改める。
まあ、そんな事はどうでもいい。
「ごめん。少し考え事をしていた」
謝り、いつまでもたれていたのかと恥ずかしくなり、立ち上がる。
「あっ……」
そこで残念そうな声を出すな。
イケメンがすると破壊力が高いんだから。
「あの…、我が君」
「真緒でいい。そう告げたけど」
真名の影響はラーセルシェードというかつての名前では影響あるみたいだけど、新庄真緒という今の名前にはあまりないみたいだし。
許可をしているからかもしれないが、名の影響ないな。
「はい……真緒様」
顔を赤らめて嬉しそうに笑うんじゃない。
つられてこちらも赤くなる。
「我………真緒様。顔が赤いですが、風邪でも…」
今我が君と言い掛けたな。
「川に落ちたから風邪でも引かれたのでは、症状は!!」
案じる声。
至れり尽くせりの状態で、自分好みのイケメンにされると言うのは破壊力が高すぎる。
勇者みたいにゲーム感覚じゃないけど。
「乙女ゲーみたいだな」
「……真緒様」
どうかしたんですかとこちらを窺ってくるイケメンの破壊力。
これが現実だとは思えない――いや、現実だけど――。
熱が無いかと心配して額に触れる――しかも触れていいのかと不安げに恐る恐るなのだ。もう宝物のように触れられてドキドキしてしまう。
(これが噂の正しイケメンに限るって奴なのか!?)
勇者にされてもドン引くが、リムクラインだと恥ずかしくて逃げたくなる。
考えてみるといい。
動物好きで、女の子達に村八分にされていて、友達が少ない平平凡凡の顔立ちの美形にはお近付きする機会が少ない非リア充にこの刺激は強すぎる。
「だ………大丈夫だから。少し離れて」
「我が……真緒様」
また我が君と言おうとしたけど。
名前を呼ばれるからダメージを受けるんだよな。
その事実に気付いたが、名前を呼びを辞めさせたらリムクラインが激しく落ち込むのは予想付いたので慣れれば大丈夫になるはずだと自分に言い聞かせた。
真緒様からすると平平凡凡の外見
リムクラインからすると闇を凝縮したような美しい姿。
取り敢えず一応見た目は悪くない。特にいいとも言えないが少なくとも勇者が構ったのは外見が悪くなかったからであります




