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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
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別行動

これより勇者ハーレムから離れました。タイトル詐欺です

  第121話  別行動

 深い深い水の中。

 息が出来ない。


 とっさに息を吸おうとして水の中で口を開けてしまい、口の中に空気ではなく水が入ってくる。


(溺れた時に冷静に対応できなくなるってこういう事なのか)

 手を動かすが学校で習ったように動かない。

 息が苦しい。

 服が重い――。


『”我が君”』

 

 気が付いたら川辺に居た。

「”ご無事ですか?”」

 身体を温める様に抱き寄せている存在に気付く、

「………リムクライン?」

 どうしてここに?

「”我が君が居られるならどこへでも駆け付けます。――間に合わずに申し訳ありません”」

 綺麗な――うん。私好みの顔立ちの綺麗系なんだよね――青年が申し訳ないと頭を下げてこちらを案じていると色々と心臓が持たない。

「”怪我してないからいいよ。――助けてくれてありがとう”」

 伝えると、

「”いえ、…滅相もございません……”」

 と、顔を赤らめて答えてくれる。

 そんな顔を赤らめている好みの顔立ちの美形が身近に居たらついつい自分に気があるのかと勘違いしてしまいそうだ。

 多分名前を呼んで進化したから元々の気質もあるけど、魔王わたし好みの顔立ちになるように無意識で命令しちゃったんだろうな~。

 うん。綺麗。

 眼福眼福。

 もふもふじゃなくても癒されそうだ。

 んっ、もふもふと言えば……。

「”アカネ!!”」

 私の肩にはアカネが常に乗っていた。

「”アカネは!?”」

 ぐいっ

 リムクラインの胸元を引っ張って、問い詰める。

 その際、身体を温めてくれていたが礼儀として必要以上に触れないように気を使ってくれていたのだが、迫り過ぎてリムの身体に触れてしまう。

 リムクラインの顔がますます赤くなり、動揺している。

「”あっ、ごめん”」

 そんなに近付きすぎて、追い詰めさせてしまった――身分的なもので近付くと怖いよな。うん――。

「”それでは答えられないよね。リム”」

「”……柔らかかった”」

 何かぼそっと言っているけど小声で聞こえなかったな。 

「”あの…アカネは、勇者達の動向を探ってます。勇者が我が君を助けようと…川に近付くか……”」

「”………そのまま先に進むか”」

 墜ちて行く時の勇者達を見ている。あれを見て、助けに来るとは思えない。

「……そうか」

 魔族の…魔王の私は冷静に仕方ないと受け入れている。

 だけど、

「私はいらないんだ……」

 人間の心が傷付いて、涙を流していた。

「”我が君!!”」

 慰めようとリムクラインが恐る恐る触れてくる。

「”泣かないでください!! 我が君。人が…勇者がいらないと言っても、私とアカネは貴方様の事を……お慕いしてます”」

 冷静な自分はその台詞は告白と勘違いされるよと突っ込んでいたが、傷付いた心からするとお世辞でも嬉しく思えた。




次は本編に入る前に小話です

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