表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
諦める者
130/290

武器庫

本編よりも先に出来た

  幕間  武器庫

 まず、目に入ったのは剣――様々な形。美しさ。大きさ。

 大剣もあれば小剣もあり、暗殺者が持つ隠し剣や片刃の剣。双剣もある。

 西洋ぽいのもあれば日本刀もあり、有名SF映画の柄を握ると光の刃が出るのもある。


 次に目に入るのは槍などの長物。

 槍、根。蛇矛。薙刀。

 死神の持っているイメージの鎌もある。


「ここは……?」

 剣、槍。弓。

 というこれぞ武器という物から。

 鉄扇。笛。錫杖。

 という武器としてはゲームのイメージが強い物。

 札。手裏剣。

 実際に使えるかはともかくイメージで使えそうな代物。


 そして――。


「銃…」

 様々な銃。銃に詳しくなくても刑事ドラマ。時代劇で見るような様々な代物。

「ここは……どこ?」

 誰も居ない。

 自分一人。


「――へぇ~まさかここまで来れるほど魔王化が進んだのか」

 声。

 慌ててそちらに視線を向ける。と、

「……お前」

 そこに居るのは自分。

「ド…ドッペルゲンガー……?」

 見たら死ぬって奴。

「なんで…!?」 

 何で急に知らない所に居て、ドッペルゲンガーを見る事になったのか!!

「――落ち着けよ」

 落ち着かせようとしない元凶が笑いながら告げる。

「はあ、俺じゃ、説明がムズいか…でも仕方ないな……」

 困ったように呟いて、面倒だと言う様に壁にもたれる。


 しばらく続く沈黙。


「お前……?」

「おっと、ようやく冷静になったか」

 もたれていた壁から離れ、

「さてと、――話を聞く気になったか? 次の魔王候補さん」

 魔王候補?

「魔王って…!?」

「――褒められたい」

 ぴくっ

「称えられたい」

 ぴくっ ぴくぴく

「自分は特別だ。自分は選ばれた人間だ。だって」

 一度区切る。

「――だって、自分は勇者だから」

 嗤うように告げる声。

「特別は二つもいらない。巻き込んだから守って、それで自尊心を高める。だけど、それは相手が自分より劣っているからいいものだ。相手がもし、何か一つでも自分より優れているものがあったなら?」

 尋ねる声。

「もし、それを不快だと思っていても、自分の立場では言い出せないのに、誰かが…『危険だと』言ったなら?」

 大義名分になるだろうね。

「口では『するな』と告げても目が、顔が、行動が、『消せ』と告げていたら?」

 身近な者はどうするだろう。

「――何が言いたい!!」

 聞いていると不愉快だ。さっさと出たいのに出口は無い。

「英雄になりたい。それがお前の欲望」

 ぽんっ

 肩に触れられる。

「おめでとう。君は英雄になれるよ。魔王と言う英雄にね」

 ここはそう言う者が来る空間。

「ここ…」

「魔王になれる権利を得るとお前の様に内面に世界が出来る。ある者は、共存を求め、その方法を得るために知識を表現した図書館を作りだし。別の者は医務室。ある者は庭園。遊技場」

 それぞれの魔王になりたいと思った理由がその世界になる。

「魔王って、俺は魔王を倒すために…」

「もう、倒しただろう?」

 それ以上どうしたい?

 素朴な問いかけ。

「もう用件は終わったのに。どうしてまだ勇者でいる必要がある?」

「俺は…」

 何か言わないといけない。でも、言葉は出ない。

「――魔王になったら崇められるよ。英雄になれるね」

 そんなものになりたいなどと言ってないのに。

「――もう、遅いよ」

 君は、先の魔王が与えた慈悲を踏み躙ったから。

 

 声が遠ざかる。

 そして、

「新庄さん!!」

 橋が壊れ、墜ちて行った彼女を飲み込んだ川が眼下に広がっていた。

 

図書館は真緒=ラーセルシェード。

医務室は冥王。

庭園は精霊王。

遊技場は龍帝。

それぞれ内面に世界があります。

もう一人の魔王候補は……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ