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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王城に
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封じられても囁くもの

封印は完全じゃありません

  第117話  封じられても囁くモノ

 吐き気と戦いながら視線に映るのは龍達と穏やかに話す新庄。

「勇者。お水」

 魔法少女が差し出してくれる水を口に入れてもむかむかは収まらない。


 それも当然だろう。

 乗り物酔いのむかむかと違うむかむか。


 勇者物の漫画はよく見ていた。

 ゲームもしていた。

 その中で多いのは龍との友情だ。

 でも、

「………そのポジション」

「勇者?」

 しゃべれるようになったんだとホッとしている魔法少女を見て、

(………魔法少女パイシャンのポジションなんだよな)

 龍との友情イベント――ゲームとは違う。漫画でもないと思っているがそういう役回りは勇者である自分がするべきだろう。何で、魔法少女パイシャンが友情イベントをしているのか分からないけど。

 まあ、魔法少女はいい。勇者パーティーの中でそういうイベントがあるのもお約束だから。でも。


(新庄さんは何もしてないはずだ)

 戦闘もしてない。

 魔法も防御とかが出来るとは聞いたけど、見た事無い。

 それなのに。

 それなのに。


――ドウシテ龍達ト仲良クシテルノ?

 声がする。

 自分によく似た自分と違う声。

――イヤ、違ワナイサ

 耳元で嗤われる。

――俺ハ、オ前。正義ノ味方。勇者。ソンナ言葉デ認メヨウトシナイ。オ前ノ闇

 奇妙な事を言う俺に闇なんて……。

――誰カニ、崇メラレタイ?

 ぴくっ

――頼ラレタイ

 ぴくっぴくっ

――英雄願望

 嗤う声。

――ソウ思ッテイル者ノドコガ闇ガナイト…?

「違う……」

 勇者としてしないといけないと思っているからするんだ。 

 英雄願望とか。崇められたいとかそんなの……。


 勇者――湯島正樹の内面を新庄が気付いたのなら告げただろう。

 それは普通だ。

 した事に感謝されたい。期待されて褒められたい。

 英雄願望なんて大なり小なりあるモノだと。

 大事なのはそれをいけない事だと否定せずにそう言うものだと受け入れる事。

 否定すればするだけ闇と言うしこりになって本人を苦しめる。

 

 しこりが大きくなればなるほど欲望と言う形で呼ばれ――魔王化が進む。


 そう――。


 かたっ

 かたかた


 かつての魔王――新庄真緒と言う存在に転生したラーセルシェードが封じた蓋が彼の心に反応して動く。

 彼女が苦手だと告げた事で、勇者ではなく湯島正樹自身を見るように仕向けた事が功を奏しておらず。内面と向き合う事が出来ない臆病な心がそっと闇に包まれる。


――本当ナラ龍達ト友好ヲ築クノハ勇者デアル自分ナノニナ


 そして、新庄自身も自分がかつて魔王だった事を隠そうとした事で理由が不明なのに龍達と交流を深める謎の存在として他者に見られているのを自覚してなかった。


長男「そう言えば…乗り心地はどうでしたか?」

真緒「モフモフしてなかった」

長男「(´・ω・`)」

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