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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王城に
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龍の恋?

移動が短く済みました

  第115話  龍の恋?

 魔王城が目と鼻の先。

「ここでいいだろう」

 降りれそうな場所を見付け、龍達は次々に翼を畳んで背に乗った人間を下ろす。

 が……、

「やっ、やっと降りれた……」

 グロッキーと言う顔の勇者。

 茂みに入ってしばらく出てこない――入る前に口元を手で押さえていた――巫女。

 木の幹に持たれ、ずるずると座り込む女騎士。

「…………どんな乗せ方したの…」

 ちなみに魔法少女と私――とアカネ―ーは普通である。

「勇者。大丈夫!!」

 二人が弱っている隙にポイント稼ごうと魔法少女が勇者を介抱しようと動き出す。

「お水を飲んだ方がいいよ♡」

 ああ、嬉しそう。


(独り占めできるチャンスだもんな)

 後の二人の方が酷そうに見えるけど、そちらはどうでも良さそうなんだな。

「私がするしかないか…」

 ぼそっと呟いて、水筒を手にする。

 その途中。魔法少女を見つめる末っ子の視線に気付く、

「……《水琴ヴァッサー》?」

 しまった。ついつい本名の一部で呼んじゃった。

「えっ!? あの……?」

 今名前を、

「どうしました? 末っ子さん?」

 末っ子だけ私の正体知らないんだよな。軽々しく呼んでしまった。

 ………愛称でも格下は呼んだら消滅する。許可を得てからしか呼べないのについ呼んでしまったら格上まおうだとバレる。

「今…?」

「何かありましたか…?」

 惚けてみる。

「いえ…、何も」

 私の正体こそ知らないが、兄弟達が敬意を持っているのは理解しているのでそれ以上追及はしなかった。

「あの…、その…、僕に何の様でしょうか…?」

 びくびくと不安げに訪ねてくる。

「う~ん。ちょっとね」

 魔法少女を見つめる眼差しが優しく、長く自分の背に乗っていたから体調を崩してないか気を使いつつ、勇者を案じる様子を寂しげに見ている。


「………《ヴィント》《大地ラント》《ナーゲル》」

 こっそり。龍の三人に声を掛けるちなみに念のために風の術で聞こえない様にしてある。

「あれって…」

 私一人じゃ判断できない。

 何分。新庄真緒わたしはその手の事に鈍いし、ラーセルシェード(まえのじぶん)は好きな存在と嫌いな存在が明確に分かれてはいたものの、番いを得る前に亡くなった――殺された――からこの手の事は自信ない。

「………《水琴ヴァッサー》は母が自分の出産で亡くなっています」

「俺らが寂しくない様におふくろの話をしてきたからな」

「………同意なしで逆鱗を渡して、妻として迎えた。それも話してあるので、逆鱗を渡した相手=伴侶になっていると思います」

 困ったように、言い澱みつつ説明してくれる。

「えっと…」

「初恋。でしょうね…」

 そういう時一番辛口なのは《ナーゲル》だった。

「……龍は種族問わずだったよね。伴侶は」

 別にその辺は問題じゃないけど、

「勇者のハーレムに居るけど……」

 その点は、どうするのか?

 心配になって訪ねてしまう――決して出歯亀ではない。

「どうしても相手を求めるのなら決闘するだろうが」

「あいつは気弱だからなぁ。相手の幸せを見守るで終わっちまいそう」

 兄二人の冷静な判断。

「まあ、寿命違うから。見守ってから次の恋に入れると思うけど…」

 楽観的な意見を《大地ラント》が言ってくれるが、

「龍の恋は生涯一度だけが多いけど、龍帝もそうだろうし」

 あいつ。私が若い頃。お前が雌だったら伴侶にしたのにと冗談を言ってたな。そういや。

 楽観視しない方がいいと忠告をしつつ、

(個人的にはハーレムよりも龍を選んでほしいけどな)

 と一夫一妻制の狼の名残でそんな事を思ってしまうのだった。



そろそろ龍組とお別れのつもりなのに爆弾を落としてしまいました。

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