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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王城に
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ヘイ! タクシー

真緒様は胃が痛かった。

  第113話  ヘイ! タクシー

 勇者が馬鹿な事を言い出したから話が大きく逸れた。

「………いい加減にしろ」

 ボソッと呟いたが、面倒な輩に聞かれなかったか確認する。

「……」

 どうやら、聞かれてない様だ。

 良かった。良かった。


「で、本題は?」

 何時までもこんな茶番に付き合ってられない――胃が痛い――ので、話題を元に戻す。

「へぇっ?」

「話がずれたでしょう!! 一刻も早く魔王城に行きたいんじゃなかったの!!」

 ……………ああ。何で前世の私はこんな奴に殺されたんだろう。いくら前世でも記憶が全部ある訳じゃないからどうやって倒されたか分からないんだよな。

 でも、この勇者を見ていると殺された自分が惨めに思えるのは何故だろう。


(もしかして、そんな勇者に倒されるのも思えの復讐だったのか!?)

 本人ユスティに聞かれたらそんなわけがないと即答されるだろう内容を考えてしまう。


「あっ、そうだった」

 ポンと手を打って、

(手を打つなよ言い出した奴が)

 と怒りを抑え込んで、

「で、どうするつもり?」

 いい加減本題に入れよ。と文句を言いたいのを抑えて、

「龍のみんなに協力をお願いしたい」

 ………………。

「はい?」

「龍の背中に乗せてもらって、魔王城まで送ってもらいたい」

「……………………はい?」

 今妙な事を聞いたような。

 えっと、

「りぴ-とあふたみー?」

 英語は得意じゃないのに、ついひらがなで英語を言ってしまう。

「なんで、英語? 発音おかしいし」

 悪かったな。得意じゃないんだよ。

「龍の背中に乗せてもらって、魔王城まで送ってもらいたい」

 ………やっぱりか。やっぱりそうなのか。

「何考えてんの!!」

 誇り高き龍に何をさせようとしてるのよ。

 怒鳴ってしまったのは無理もない。

 私は悪くない。


 そう、怒鳴る私を見て文句を言うハーレム達に噛み付いてくる前に勇者の台詞を冷静に考えろと文句を言いたい。

「――我らを愚弄する気か?」

 ほら、怒ったじゃない。

「いや、愚弄してないよ。――結界を何とかして欲しい。それなら、魔王城に行けばいい。移動が速くなるなら龍の背中に乗せてもらって、時間短縮しよう。これだ!!」

「――ほお」

 これだ!! じゃない。怒ってるでしょうが。

 そこのハーレム達も流石勇者と褒めるんじゃない!!

「ああ……」

 胃が痛い。

「…………背に乗りたいか」

 次男が顎に手をやって考え込む。

「面白そうだな」

 くくっと笑って呟く。

「ラント?」

「まあ、協力してやってもいいぞ」

 気紛れ。そうとしか言いようのない口調。

「その方が早く解決するだろうし」

 そう告げてくれる声に、本当にいいのか心配になる。

 そして、心配と同時に、

「やっぱ、勇者は龍に乗らないと!!」

 とほざく、勇者バカの戯言が聞こえてない事を祈った。











そして、勇者は龍をタクシー〈アッシー君〉にするのだった。

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