名前の力
おや、魔族の様子が
第12話 名前の力
魔族で問題。ね…。
(まあっ、多少はあるよな)
「”何があったの?”」
「”実は…”」
ごにょごにょごにょ
「”……呆れた”」
人間にも言ったけど、まさか魔族にもこのセリフを言うとは思わなかった。
魔族で起こった問題。
「”私の後継者争いって、魔王は他の魔族と異なるのに!!”」
魔族は魔王には余程の事がないとなれない――完全になれないの方が近いがもしかしたらを考えると断言はしないが――その理由は、
「”魔王しか、魔族を創る事は出来ないのに”」
別に生めよ、栄えよというのなら一介の魔族でも出来る。だが、それは、同じ種族である場合のみ。
新しい魔族は創れないのだ。
「”それなら、他の魔王の所属になった方がまだ現実的だけど”」
「”我が君。貴方様には我らは弱き者。ですが、我らにも矜持があります”」
意見するのも怖いだろうにここまで言えるなんて面白いな。
ふと、前世に会った。自分に意見した人間を思い出す。
(あいつ以来かな)
「”……お前。名は?”」
興味が湧いて尋ねてみる。
びくっ
怯えたように反応して、
「”わ、私の名。ですか!?”」
「”ああ。怯えるな。取って食うと思われてるのか?”」
「”……我が君なら、食べられても…ではなく、私の名は、リムクラインと申します。お耳を汚してしまいますが…”」
前半は、よく聞こえなっかたが、自分の名が、私に聞かせるのが不敬だと思ったのか、
「”……そうか。リムクライン。覚えたぞ”」
愛称で呼ぶならリムかな。と勝手な事を思っていたら、リムクラインが胸を抑え、苦しみだす。
しまった。
……魔族の名前は、同格か、高位のものしか呼ばない。
私より高位の者はめったな事では名を口にしないので忘れていたが、下位の者にとっては高位の者に名を呼ばれるのは名誉なのだ。
高位の者が自分を認識している。
その事を誉として、自信をつけ、結果。
「”その自負が自身の力に進化する”」
……元々リムクラインは獣人として、強い者だったのだろう。
長いような、一瞬のような激痛の末、まるで、西洋の悪魔のような外見だった山羊の顔が人間の顔に進化している。下半身は山羊のままだけど、人間部分が増えている。
獣人から魔人。
進化にしてもケタ違いだ。
「”……”」
やっちゃった。
うん。やっちゃったのは仕方ない。
「”リムクライン。お前に役目を与える”」
丁度私の代理で魔族に連絡して欲しかったのでその役割を押し付けた。
もふもふの分が減った(真緒様)




