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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王城に
118/290

知らないところで

ちょっと行き詰ったので息抜き

  幕間  知らないところで

 結界の付近。

「ひいいい~!!」

 大勢のトカゲの人間に追い掛けられ、逃げ纏う木こり。

 ここら辺はまだ魔物が来ないと安心して作業をしていたのに、まさかここまで魔物が来るとは思っていなかった。


 必死に逃げる。

 斧が重くてその重みで走るのが遅くなっているが手放せない。

 命あっての物種。

 だが、命あっても食い繋いでいく方法が無い。


 木を切って暮らすしか教わっていなかったので、魔物を倒す術なども知らないし、倒す必要性もなかった。

 生活に今まで不満もなかったから町で暮らすと言う選択肢もなかったし、街に言って暮らす伝手もない。

(どうして…?)

 木こりは魔物に襲われた事無かった。

 他の者にそれを話すと大概。魔物を見た事が無い運のいい者だと言われたが、魔物……魔獣や獣人はよく見ていた。

 神殿も山一つ超えないと行けない田舎。それ故に魔物の恐ろしさは神殿から聞いているわけではなく、村での生活で学んできた。


 木こりの育った村では魔獣や獣人は手を出さなければ良き隣人。

 時折空腹で暴れそうになる魔獣が居る場合は近付かず。ある程度距離を置いて、専用の箱に食べ物を入れて分ける。

 後日。その箱に貴重な薬草や蜂蜜。キノコなどが入って村に返される。


 空腹な魔物は調理した料理とその調理の経過で作った者などで携わって者達の想いが籠もっているのを糧にして空腹を満たす。


 村の長老の話だと魔物の食事は個体差こそあるが、人間から向けられる想いが一番の糧になるそうだ。

 優しい感情を向ければ、穏やかな魔物に。

 悪い感情を向ければ人を襲う凶暴な魔物に。

 料理と言う、人が手を入れた食べる者を考えて作られた物が魔物に一番愛情が伝わりやすいという判断の元昔から作ってきた風習は、魔物からのお返しがあるので余計好印象で受け入れられていた。


 なので、何もしないで襲われるとは思っていなかった。


「たっ、助け……!!」

 木の根に躓いて転ぶ。

 トカゲ人間は間近に迫っている。

 

 死を、覚悟した。


「――大丈夫ですか?」

 一人の男性が庇うように現れる。

「へぇっ!?」

 誰だろう。見た事無い。

「貴方達村の人には恩があるから助けてほしい。彼らがそう言ってたから来たけど間に合って良かった」

 安堵するように笑う。

 その男性の後ろには女性がトカゲ人間と向き合っている。

「お嬢さん。逃げないと!!」

 このままじゃ危険だと叫ぶが、

「大丈夫です。――この人の安全は頼めないかな?」

 前半は木こりに、後半は……。


 男性の声に反応して魔獣や獣人が姿を現す。

 次々に鳴き声を上げて何かを伝えているその姿に男性は笑い。

「”ありがとう” 彼らが守ってくれるのでここを動かないように」

 男性が告げると、

「シヅキ。俺も相手するから」

「シトラ。でも、貴方は…」

「いつまでも甘えていられないだろう」

 男性――シトラは女性――シヅキに向かって告げると、トカゲ人間に近付く。

「”異郷の民よ。ここは獣の王の土地。大人しく去るといい”」

 木こりには何を言っているか分からない。

 トカゲ人間も動かない。

「”去らないのならこの地の魔族として相手をさせてもらう”」

 シトラの身体に虎の耳。尾。爪が現れる。

 それに合わせるようにシヅキの方もウサギの耳。尾。足に変化した。





お久しぶりです。皆さん覚えてますか?

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