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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王城に
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盗み聞き

旧文明の言語でひそひそ話

  第110話  盗み聞き  

「………」

 ノイズ交じりの言葉だったが、伝わってきた。

 今まで、分からなかったのに、伝わる。理解できる。


 獣の王と魔王を呼ぶ中。

 結界の維持。

 それとも完全に無くすかと言う話。

 ………………俺と新庄さんはその結界を維持するための部品扱いだと言うのが。


 それが、女神ユスティが俺らを召喚した理由――。

 じゃあ、何で、新庄を殺すように――。


「”生贄は二人もいらない。一人であるからこそ希少性があり、人々は生贄に敬意を持つ。ましてやそれが勇者だったら”」

 新庄の冷たい声。

 龍の兄弟達に向けられている。

「”……新たな神の出来上がり。ですか”」

 末っ子の龍が口を開く。

「”……元々”」

 遠い目。

「”元々。生贄が神になりやすい環境だから”」

 新庄の言葉を聞きながら、新庄は何でそこまで詳しいのか疑問を抱く。

 色々教わっていると思うが――勇者は、全くの白紙状態で旅に出された事を知らない。一応新庄は言っていたが伝わっていない――それでも聞いていた事と知る事は別物だ――流石にそんな事は理解していた。伴っていないが――。

「”ってかさ。どうするのこいつ。この地域の者が結界を維持すると言う選択をしたら生贄として押し付けて神に仕立て上げるんじゃないか? 死ぬまで”」

 ざわっ

 鳥肌が立つ。

「”この者は召喚に応じただけですよね。では、そこまでこの世界の事を押し付けるのは”」

 女の龍が答える。

「さっきから何を話している?」

 女騎士が警戒するように口を開く。

 そりゃあ、目の前で隠し事してますと言う感じの話をしていたら警戒もするか。

「………水琴〈ヴァッサー〉」

「後で話します」

 末っ子の龍は魔法少女に丁寧な口調で告げるが、

「う~ん。大丈夫みたいだよ♡ 分かってきたから」

 ………………はい?

「渡された《逆鱗》? というものは便利だね。貴方達の言語を翻訳してくれているけど」

 すっごく便利な道具を貰ったとにこにこと告げると、

「………魔法少女さん。大事にしてあげて下さい。逆鱗はこの地域での名前と同格の意味を持ってますので」

 新庄が忠告する。


 名前と同格って? 新庄はいつそんな知識を仕入れたんだろう。


 いや、それよりも。

「こちらの言語が伝わっているのなら筒抜けだと思うから言わせてもらう」

 龍の長男が口を開く。

「お前達この地域の住民は勇者と言う犠牲を出して結界を維持したいか?」

 問い掛ける声。

ヴィント!!」

 止めようとする新庄の声。

「いや、そもそも、お前達は獣の王を殺してはいけなかったのだ」

 断罪する声で、末っ子を除いて敵意丸出しな理由を知らされた。


 冗談じゃない。

 魔王を倒した。それがいけない事だった。

 それじゃあ、俺は何のために勇者として召喚されたのだ。

 …………俺のした事の意味は一体?


 ばんっ

「落ち着きなさい!! ヴィントヴィントだ。彼を追い詰めてどうするつもり!!」

 叱り付ける新庄。

「それが一番手っ取り早いでしょう。……支柱は居ない。混乱は収まらない。なら、勇者にその立場になってもらうしか」

 悪意がある。そう思えた。

「………私はそれには反対だ」

 何の意味か分からない。互いに分かり合っている事なんだろうけど疎外感を覚えた。







勇者「ねえ。俺が分かるとという事で希少価値があるのに何で魔法少女も分かるの?」

魔法少女「えっ!? 作者が鱗渡したから分かるよねと判断したから?」

真緒「二人とも分かったら内緒話できないんだけど」

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