表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王城に
115/290

予備と部品

龍組メイン

  第109話  予備と部品

 獣の王は言えない。

 真実は消されている。

 だが、


「結界の維持の方法を聞いていないのか」

 いらないと判断して倒すならいいが、必要がっても獣の王を倒す理由があった場合の救済措置。

「結界……? ごめん。まずその結界が分からなくて…」

 呆れていいのかとため息を吐きかけたら、

「”結界と言うののが、この地域を閉じ込めていた霧として認識してたんだ”」

 獣の王の魂の持ち主が補足説明をする。

「”私も詳しく知らないけど、この地域では結界は人々を捕らえる檻として伝わっていたんだ”」

 では、

「”獣の王と人間の約定は…”」

 まさかここまでとは思わなかった。

「………かつて人間は魔王と呼ばれた存在に他国からの侵略から守ってほしいと懇願した事も伝わってないのか?」

 探りを入れて尋ねるが、

「はあ?」

 曖昧な返答だ。

「”愚かだな。自分達を守る盾を自分達で壊すとは”」

「”その場合。屋台骨を邪魔だと判断して切り落としたと言うのが正しいんじゃないかな?”」

 弟の言葉に言い得て妙だと思いつつ、

「じゃあ、結界があるのはさすがに分かったと判断しよう。――必要か不必要か?」

 人間の代表として答えを求める。

「それは…」

 結界の消滅。それだけでも被害は酷い。

「俺は……」

 勇者が口を開く。

「何がどうなっているのか分からないけど、魔王城に向かおうと思ったんだ」

 魔王城に向かえば解決の糸口が見つかるかもしれないと思ったと告げる声。


 単純明快。

 そんな簡単に解決するとは思えない。子供だまし。

 だけど、その子供だましで真っ直ぐだからこそ付いてくる者も居るという事か。


 そんな勇者の言葉を真っ直ぐに信頼している3人の女性を見て、感心してしまう。

「………解決する方法か」

ヴィント

 今更だが、止めようとする声。

「それはお前の選択次第だが、勇者が二人現れた事の意味を推測だが告げるとすれば」

 このまま隠してはだめですよ。獣の王。

「……魔王。いや、あえて獣の王と呼びますが、獣の王の作り上げた結界を維持するには勇者の力が必要だという事だ」

「俺の…力……」

 静かに首を振る姿が目に入る。

「”……止めて”」

「”分かっているでしょう。結界を維持するとこの勇者が選択したら彼は《魔王》の予備として結界の一部になる”」

 魔王化を抑え込んで封じても《勇者》と言う立場である限り部品になる。


「”引継ぎをするか。結界維持の条件の緩和か。それしかないでしょう。二人召喚されたのは!!”」

「彼に生贄になれと言うの!!」

 バレない様に旧文明の言語で告げていたのに、それを忘れて叫ぶ魔王かのじょ

「何ですの? それ…?」

「生贄…? 勇者が?」

「どういう事なのよ!!」

 三者三様の反応。

「……………………それは」

「そのままの意味だ。勇者の今回の役割は生贄。それが二人召喚された理由だろう」

 憶測だと最初に言っといたが、間違ってはいない。そして、

「女神はどんなつもりで告げたか知らんが、魔物の勇者と言って消そうとしたら生贄の候補を自ら消す事になるな」

 と嘲笑うように告げた。それくらい意趣返ししてもいいだろう。


 香の王が倒された事に関して理解はしているが許せる事ではないのだ。







予備は勇者。

部品は魔王。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ