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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王の過去のお話し
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そして…

これで過去編は終了です。真緒様帰ってきます。幾つか謎も回収出来たかな

  第105話  そして…

 ああ、騒がしいな。

 最初に思ったのはそれだった。

 

 玉座の上。常に結界の中に侵略者が入ってきてないか見守っている事にも飽きて、ただ座っているだけの自分の目の前に現れたのは勇者――。


 長い口上を言っているのを耳にして、ああ。これで終われるのかと安堵した。

 勇者の聖なる剣は魔王わたしの本能が恐ろしい物と警鐘を鳴らす。


 だが、もういい。


「行くぞ!! 魔王!!」

 勇者の剣が迫ってくる。


 簡単ニハ殺シテアゲナイ


 一瞬。

 強い憎悪が剣から伝わってきた。


 勇者様。

 勇者様。

 ご無事で。

 信じてます。

 勇者様絶対。

 魔王を。

 魔王を倒して。


 祈りを力にする武器。人々の想いが力となるそれに抵抗もなく持てる勇者に驚いたが、それよりも。


 苦シンデ死ネ

 滅ベ


 粘着質な思念。

 呪い。


 どこかで……。


 そんな事を考えていると剣が体を貫いた。

 

 死んだら…魂は高位の者――神になる。

 自分が神になると言うのが実感が湧かないが、もう何物にも縛られなくていいのにはホッとする。

 何時も玉座の上だったから玉座から離れるのも妙な感じだ。


 この勇者はどういう選択でここに来たのだろう。

 結界を維持するのか。消滅させて外交をするのか。

 見届けられないのが辛いな。

 高位の者になる前に時間があればいいのに。


 …………そう。少しだけ、時間が欲しい。

 二人目の生贄はいろんなところに旅をしていて、一緒に行けたらいいですねと話していた。

 三人目は、物語が好きで即興でいろんな話を作ってくれていた。本屋でいろんな人が手軽に読める世界があるといいのにと夢見ていた。

 四人目は、星が好きで暇さえあれば星を見ていた。玉座の上じゃなくて、お城の中と言う術にすれば一緒に星が見れるのにとぶうぶう文句を言っていた。

 五人目は、料理人で弟子達に料理を叩きこんできたと誇らしげに告げて城の者に食べさせていたな。ああ、そいつのおかげで、食事にこだわる魔族が現れて、生贄の食事に気を遣うようになったな。

 

 走馬燈と言うんだったか。いろんな事を思い出す。

 死ぬ事に安堵しているのに自分のした事の結果が直接見れないのは悲しいものだな。


『王様』

 ああ、目の前で花畑も見たかったな。


『王様。それが王様のお願い?』

『うん。分かった。それが王様のお願いなら。叶えるよ』

『だって、私は王様の事大好きだもん』


 だから、

『私が転生するはずだった運命を王様にあげるね』 

 

 誰も、認識できない奇跡。

 本来高位の者として新たな神になる存在だった魔王は死と共に魂の行方が分からなくなった。


 新庄真緒と言う名でひっそりと転生していた事は二度目の勇者召喚まで気付かれなかった。





真緒「読者を私は帰ってきた!!」

作者『元ネタ知らんのによくやるな』

真緒「ネタは踊らないと勿体無いでしょう」

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