人間達の困った裏事情
魔王は辛いよ
第11話 人間達の困った裏事情
勇者に説明している時に見せていた写真。
勇者は幽霊船の方ばっかり注目していたが、殆ど写っていたのは、ただの船――まあ、戦艦だったが――幽霊船は一隻だけだった。
「”霧の外では、霧の中はどう伝わっていたのやら”」
「”魔王の被害は酷く。霧に覆われていたのが晴れた事で我が君の支配が外れ、魔王の居ない空白地点と認識されてます”」
「”なるほど”」
理想郷か。
「”外は魔族との戦いはより過酷で、対抗するための手段もここよりも進んでいます”」
「”……鎖国している間に産業革命で歴史が激変した。みたいな感じかな”」
「”…サンギョウ……?”」
「”あ~。物の例え”」
気にしなくていいよ。
「”我が君の例えを理解できない……こんな愚かな私になんて寛大な”」
感動してるとこ申し訳ないが話を進めたい。
「”魔族は? 今のところ三つ来てるね”」
竜型魔族。樹化型魔族。死人型魔族。
勇者とか王達が魔王の呪いと言って、見た事の無い魔族を推測していたが、単純に創った魔王が違うだけだ。
私はもふもふの動物が好きなのだ。一部の例外こそあるが、基本は獣型魔族しか創らん。
「”はい。ここにおる魔族は、侵略者と戦闘で弱っていた時に捕らえられました。……魔道具の材料として”」
「”ああ…”」
いろいろやっちゃったからな。
「”薬になるのも居るけど、魔王の脅威は無いならいらない種族もいるよね”」
武器の材料にしかならない種族とか。
「”侵略者に対抗するためには必要か……”」
「”いえ…”」
すぐに返ってくる否定。
「”…?”」
「”……人は、我が君が居なくなった後。戦闘を始める準備をしました”」
戦闘……。
「”その理由は?”」
「”我が君の遺品の分け方で揉めたのです”」
「”……”」
呆れてものが出ない。
「”勇者がもう少し欲がある者ならば、殆ど勇者が手にして、争いは起きなかったかもしれませんが”」
勇者は協力してくれた国々で分けてくれと残していった。
「”召喚した国。被害が多かった国。それぞれ主張して解決しなかったのです”」
しまいには、再び勇者を召喚して、王女と強制的に結婚させて、主導権を握ろうとこの国では意見も出たのだが、
「”流石にそんな事では神は勇者を召喚する為の力を貸してくれないと判断して、実行には至らなかったそうですが”」
「”……そんな事で高位の方が動くものか。…つまり侵略者は、まさに渡りの船だったのか”」
バカバカしい。
「”なら、今回の事を解決しても勇者は帰れないし、返されない。か”」
解決させるのも荷は重い。解決するのかなこれ。
「”我が君……”」
「”んっ?”」
「”実は、我が同朋の方でも問題が…”」
……すっごく嫌な予感がした。
実は真緒様空気椅子(術)で座ってます。




