人が忘れた約束
あれ? シリアス……
第10話 人が忘れた約束
昔々。世界はとても広く大きいものでした。
広いのにもっともっととどん欲に欲しがる者は、他の者の持ち物でも気にしません。
やがて、どん欲に欲する者は魔王と呼ばれるまでの力を得ました。
ある日。ある一体の魔王の元に一人の人間が来ました。
「お願いがあって来ました」
人間は勇者と呼ばれてました。
「この世界には、戦いに疲れた者が多くいます。でも、戦わないと守れないので戦いを辞めれません」
その魔王は、話はどうでも良かったが、勇者の行動に興味を持ってお願いを口にしていいと告げます。
「貴方の領域に戦い疲れた者を保護してください」
勇者の話は本当にどうでも良かったですが、それだけの為に殺されるのを覚悟して来た勇者の心意気を気に入り、
「それをするには、幾つかの条件がある」
と勇者を試すために話を続けます。
「一つ。維持をどれだけするか分からないが私の力もいつか枯渇する。その時に補うために人間の犠牲を出してもらう」
魔王は万能ではありません。それをするのには魔王だけでは不可能です。
「その犠牲はどんなものですか?」
何度も言うが魔王は面白がっていました。
「命と言ったら?」
「――まず、私の命を渡します。ですが、私以外の命は許してほしい」
「どん欲だな」
バカにするように笑うが、本音はますますその勇者を気に入ります。
魔王とは、どん欲さゆえに魔王になったのだから。
「そうです。私はどん欲です。だから、私は貴方に無茶ぶりも出来るんです。…どん欲で我儘じゃないと動きませんよ」
清々し迄にどん欲で我儘で、向こう見ず、そして、
「バカだな」
知り合いの魔王なら、そんなバカの心を叩き折るのに楽しみを見出すだろう。
「命は取らんさ。余程の事がない限り」
こんな面白い者を壊してどうすろ。
「…そうだな、百年に一度生贄は取るが、私の退屈しのぎだ。お前のように面白い者を手元に置いて遊びたい」
遊び方は人間に任そう。自分が考えるのよりも面白い事をしてくれるだろう。
「ただし、私の部下は、人を襲う。それは、野生の獣の狩りと同じだ。自然の摂理と思ってくれ」
「……仕方ないです。それなら、逆に狩られるのも自然の摂理。ですね」
一方的だと思うな。
「なら、人が狩る価値のある部下も教えよう。その方が面白くなるだろうし」
それが、最初の生贄であった。勇者との……人間との約束だった。
次回は真緒様戻ってきます




