あるカモ
「それで君は、そのあと警察と病院に、行ったたと」
丸眼鏡に
きちんとしたスーツ
さらには愛用の机の前の椅子に座って
何下もなくくつろいで聞いていた
彼の名前は
神林 祭
実にお目出度い名前だが
その性格は別の意味でお目出度い
何があろうと
まるで紳士てきであり
何があろうとも
まるでいたずらに
お茶目であり
なにがろうとも
とにかく自分を変えないような人なのである
私は連日連夜
警察に事情聴取を聞かれ
そのあとには病院のカウンセラーに診察を見てもらうことになっていた
幸いなのはレポートがその間免除になると
学校側が言ってきてくれたことくらいであり
しかし
それ以前に
私はふとしたきっかけで
先輩が脳裏に浮かぶのを感じ
とても勉強をする気にはなれないのだ
大体、心にダメージを負いすぎた気がする
そんなことが一周間くらいすぎた頃
「おい、桜庭さん・・今暇してますか・・・暇ならちょっと付き合え」
と、敬語と私語がおり混ざったような
独特の教授の声が聞こえてきた
「・・は・・はあ」
そのどちらとも取れないような返答に
嫌気をさしたのか
「どちらなんですか」
「・・いえ、いかせていただきます」
と、私は言う
すると教授というか
あの事件現場にこいというのだから
実にどうも・・どうなのであろうか
しかし
私は、教授が呼ぶというのが珍しく
はたしてなんだろうと
そちらの好奇心が先行して
久しぶりに大学に足を運んだのである
「やあ来たか」
彼はガラスのコップに烏龍茶を、注ぎながら言う
しかし知っている
あれは馬鹿高い
実に高級品だと言うことを
昔の先輩が
何げなしにあれでお茶を煮出そうとしたとき
地獄絵図がここで繰り広げられたといい
それから代々ルールとして
あのお茶は、タブーとなっていた
私の前に置かれたコップに、注がれた液体は
良く知る茶色いものではなく
まるで緑茶のようでありながら
黄緑ではなく
黄金色に、近い色合いをしていて
香りも
威厳たかだかでありながらも
フルーティーな、味わいもあるような気もするが
気のせいだろうか
私と、自分の分にお茶を注ぎ終えると
彼は席について話し始めたわけだ
「・・ほうほう・・と言うと、虹走君は、その、呪いの電話という物によって殺されたと」
一部違うが
「はい、市電と言う物に・・・でも・・私はとても信じることは」
「・・つまり嘘だと」
「・・ええ・・・でもそうなると」
私はそこで言葉を切った
アンティークな鳩時計が
静かな学部に、五月蠅いくらいにときを刻む音が響いた
しかし、私はそのまるで止まるような空間を切り裂こうと
決意を固めて話そうとすると
「・・・君自身がやったことだと言うことになりかねない」
神林教示に先に行われてしまった
「はい・・」
教授は別の話をはじめた
「しかし警察には、何て言っているんだい」
「・・・・気が付いたら、ああなっていて」
「そうか・・・・それで、君は大丈夫だと思うかい」
「なにがです」
「・・・これが本当だとすると
噂では、電話がかかってきた
人間の死を目撃した人間のところに
電話がかかってくると聞いたが」
「・・くわしんですね教授」
「・・・まあ、ネットを調べたり・・・それに大学生たちの言葉を聞けば
それなりに情報は混じっている」
先生はそういうと
烏龍茶に口を付けた
「先生、これは本当なんですか、本当に、この現実にこんな事が
それともこれは仕組まれた」
「そう思うかい」
私の声を遮るように
何の感情もないような声で
そんな言葉をはいた
「・・教授はどう思っているんですか」
「私は、これは殺人だと思うよ・・・君による」
「え」
私は言葉を失った
「君以外に誰がいるというのだね、ここにはいることができる人間は
この学部の四人しかいない
そして機密上
この空間は
この四人以外の人間が入ると
勝手にカメラが作動する
それは知っているね、桜庭君」
「・・はい」
「それではなぜ、警察は未だに犯人を捕まえることができず
さらには君に過酷な取り調べをしているか
それは単純だよ
君以外にいないからさ」
「・・でも・・それじゃあ、彼女は、虹走さんは、なぜ一瞬で死んだのですか」
「自演自作だろ」
「・・先輩が」
「・・・・・」
教授は
煙草をいつの間にかふかせて
一息付くと
「君自身以外いないだろ」
そう言った
「君は、彼女を恨んでいた
彼女は君にはない物をたくさん持っていた
そして君は努力なんて物では
彼女にはとうに追いつけないのを知っていた
・・・・・」
まるで違うか
そう言うように
間を置いて
「君は、そのうち彼女に悪戯を始めた
それが徐々にエスカレートして
彼女が自分を頼るのが楽しくて
そして、君は、とんでもないことをしでかした
彼女を殺した
彼女に、今噂になっている
そんな電話をかけ
・・・そして殺したんだ」
「・・そんなこと」
「本当かい」
先生は笑ってこちらを見た
それはまるで
死刑宣告を受けているように
見えた
なぜだろう
「・・・・一種の記憶喪失
君は実は
先輩をとても大切にしていた
だからこそ・・・それを失ったとき
それを認めたくなくて
自分自身でやったなど
耐えることができなくて
そこをちょんぎったのだろう」
「・・・・なら何で警察は私を捕まえないんですか」
「・・君自身が正常ではない
それどころか
二重人格者だった場合
警察は君に罪をかぶせることができない
・・・・ということだろう」
「・・・・・私本当にそんなこと」
「やったんだろう・・・・サーモグラフにもそれがのっていた」
「教授はそれを何で警察に言わないんですか」
「・・・君が正常ではないからだよ」
「私本当はなにもやってないんじゃないですか」
「・・・・映像を見るかい」
教授はそう言って
赤や青
くろやきいろの映像を私に見せた
そしてその大きさだけを
形だけの物体は
私にありありとあの状況を思い出させ
そして、私が犯人だという証拠を私に突きつけてきた
「私が・・・虹走さんを」
「・・・どうする、警察に行くかい」
「私は・・でも覚えて」
「・・好きにすると良い」
結局私は
そのあと烏龍茶を飲むことなく
警察に向かった
私は憎んでいた
どうして私よりも
いつ大学を卒業して
学問とは別の
結婚へ進もうとする人間なんかより、遅れているのかいやそれ以前に
私よりも頭が良いのだ
私がどれほどこの分野を勉強したと思っている
それをあの娘は
・・・・・・
私はその日、逆上していた
もう我慢の限界であった
今日学部に言ったら
あいつをころすきでいた
いや、それは実現した
しかし
そこにはもう一人いたのだ
桜庭という
二人しかいない生徒の内の一人だ
そいつはあまりのショックで
その場にうずくまった
そして気を失った
私の失敗は
こいつを生かせた事だと始めは思った
しかし
事態は徐々に変わっていく
奴は記憶をなくしていた
いわゆる
生命維持と言う奴であろう
奴に友達はいない
そして唯一
話してくれる人間が
虹走だったのだろう
私は奴が記憶が喪失しているのを知ると
急いである物を偽造工作した
サーモグラフの映像だ
これなら、さほど高い技術などいらない
顔も写らないし
ある程度、残された映像をまねすれば、あいつも騙されるだろう
そして騙された
これで最悪
あいつが捕まり
それで終幕を迎えるだろう
私は
奴が残していった
烏龍茶を飲んだ
もったいない
一杯
一万円はするというのに
飲まないで警察に行くなんて
もったいない
私は電話をかけていた
その電話番号は
もう空で言える
それほど考え深いものだ
すぐに電話に出る声がする
そのひどく透き通った声
何とも独特な言い回し
それは、あの人に違いない
あの人は、先輩に好意を抱いていた
だから私は
わざとそれを利用した
あの人が勘違いするように
恨むように
憎しみになるように
そしてそれは増大した
まるで火を放ったかのように
彼を燃やしていった
そしてあの日
先生は殺した
殺した
ころした
夢にまで見た邪魔者のいなくなった日
先生と私だけ
そして、先生は、運が良いことに
有り難いことに
私のせいにした
それは、始めは言わないだけかと思ったけど
それが今日
確実に変わった
それはつまり
またしに彼の命を握る資格が備わったという事
かれは、私が記憶をなくしたと思っている
しかし違う
私は彼が起こした物を
ずーーと見ていた
脳裏を思い起こせば
すぐに浮かぶ
恍惚とも言える時間
それを私は共有している
今私は電話をかけている
今度は、私がかける番だ
彼を脅すなんてできない
だけど
その逆はできる
私は彼から離れられない
そして彼を苦します事なんて
もっとできない
私は言った
「殺すぞ・・シ電」




