第六話
最弱勇者君は諦めたような顔をした後、面倒臭そうに話し始めました。
「僕の家は貴族なんだ。で、僕はその家の次男として生まれたんだ。
当主になるのは当然長男だから、僕は僕の過ごしたいように過ごしてたわけ。
そしたら家では厄介者扱いされてさ。兄様が当主になった途端、僕は家を追い出されたんだ。
きっと使用人達もせいせいしてるだろうね。扱いづらい僕がいなくなって。
僕は家を追い出された時に何も持ってなかったから仕方なく王都まで歩いてきたんだ。
そしたら王様がおふれ出してるじゃん?魔王倒せば賞金が手に入るし、旅行費も出るっていうから一文無しだし丁度いいやって思って勇者になった」
「ちょ、そんな軽い理由で勇者になったの!?」
立ち上がって迫ってくるネックスから逃げるようにレーヌはテーブルの反対側に移動しました。
「そんな軽い理由で勇者になった僕を探してたお前がそれを言うか」
「お前じゃくてネックスでいいって。それで、お前の名前は?」
ポケっとした顔でそう言われて答えざるをえなかった。
僕、名前言ってなかったっけ?
「僕はレーヌ。職業は…一応勇者かな」
勇者は職業というより役割の方が合ってる気がするけど。
「俺の名前はさっき言ったよな。職業は戦士だ!まぁ、お前を守るくらいはできるんじゃねぇか?」
「別に守ってもらわなくても…」
レーヌが仕舞ったナイフに手を当てながら言うと、ネックスは言い返して来ました。
「そのナイフじゃ戦えないだろ?それなら俺も連れてけって。よく言うだろ、旅は道連れ夜はお酒ってな!」
ネックスは自信満々に言ってますけど、それ違いますからね?
最弱勇者君、あれでもお金持ちの子なんですよ。
箱入り息子です。(箱入りと言っていいのかな?)
後書きまで読んでくださりありがとうございました!