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第二話「魔術師と魔法使い」

 今、この世界には三種類の人間がいる。

 一般人と。

 魔術師と。

 魔法使い。


 一般人は言葉そのまま、魔術も魔法も行使できない者達。

 けど魔術に関しては覚えようと思えば覚えられるから、その道に興味があるなら今は、って注釈がつくかもしれない。


 魔術師は今言った一般人が魔術を覚えた者のこと。

 魔術はダンジョン近くの冒険者ギルドで魔導書を読めば習得できる。

 ただ魔導書の閲覧には申請やらお金やらが必要だからそういう意味でのハードルは高いかも。

 習得自体は魔導書さえあれば難しくない、誰でもできる。

 一度魔術を覚えて魔術師になった時点で国に情報を登録され、ダンジョン外での魔術行使には厳しい罰則が科される。

 要するに相応の力を持ったなら言動には気を付けよ、ってことだね。


 しかし人間とはそううまくできていないもので、中には当然魔術を使って犯罪を犯す輩もいる。

 そういう者達を取り締まるのが執行者……ではなく、基本それは警察の仕事。


 執行者は魔法使いだ。

 厳密には国に認められた魔法使いだ。

 魔法は魔術とは違い後天的に獲得する術がない。

 ただ生まれたときから一つだけ奇跡ともいえる力を行使できる者たち、それが魔法使い。


 執行者となった魔法使いに求められるのは秩序の維持。

 魔術で犯罪を犯す馬鹿や、時折魔法使いの中でもその道に行く馬鹿を強制的に取り締まるのが執行者。


 強制的とは執行のことで。

 執行とは殺処分のことだ。


 当然そこまで大胆な取り締まりを行うには対象が相当の犯罪を犯し、尚且つ魔法使いでないと対処できないと判断されたときのみ。

 そういうことで僕ら執行者の出番は少ないんじゃないかと思えば、そもそもの魔法使いの総数が滅茶苦茶少ないから執行者の数も少ない、そりゃもう少ない。

 だから任務がくるときはくるし、そうじゃないときは落ち着いている。

 大半はまず魔術師に依頼がいくから最近は暇なもんだけど。


 さて、今世界に三種類の人間がいると言ったが、そこから更に魔術師と魔法使いに絞ると冒険者と執行者になる。


 ダンジョンで魔術を行使し資源や未知の遺産を持ち帰るのが冒険者。

 ダンジョンには潜らず地上で馬鹿を始末するのが執行者。


 執行者はそもそもダンジョンに入ること自体禁止されている。

 だから冒険者といえば確定で魔術師だ。


 魔術師は最初に覚える魔術【霊装】から自分の進む道を決める。

 【霊装】は種族や性別まで変わることがあるほどの魔術だが、その形次第で覚える魔術に適性という標ができる。


 極端な話、エルフになったら回復魔術が得意になるとか。

 狼の獣人になったら肉弾戦闘魔術が得意になるとか。


 人間のままでも適性は現れるから【霊装】は覚えて損はない。

 適性の魔術は行使時の威力や範囲が段違いだからね。


 なんで魔法使いの僕がこんな詳しいと言ったら昔夢見た職業というのもあるけれど、今ならこう断言する。


 推しの配信者が魔術師で冒険者だからだ。


 僕の推している配信者、その名をユキトイキ。

 純白揃いの三人組の冒険者で、みんなかわいい。

 かわいい上に所謂エンジョイ勢というやつだから気楽に見れるのがいい。


 ロリ九尾っ娘のタマ。

 色々でかエルフ女のミオ。

 むっつり女騎士のレン。


 個性で勝ってるね。

 冒険者としての実力は然程でもなく、チームでも位階指定はE、個人なら三人ともF。

 位階指定は最上位のSから最下位のFまでの七段階、つまりユキトイキは下から二番目。

 けれど彼女たちは今世界で人気なもう一つの職業、魔術師系配信者だからそれでいいのだ。


 【霊装】状態で配信をするのが魔術系配信者。

 基本ダンジョン外で魔術を行使するのは犯罪だが、面倒に面倒を重ねたそれはもう面倒な手続きを済ませた後なら【霊装】に限って魔術行使が認められる。

 ユキトイキはそのトリプル面倒を三人共が潜り抜けた配信者なのだ。

 チャンネル登録者は脅威の十五万人!

 ……もっと多いと思った?

 手続きが面倒とはいえ【霊装】を使えば美女になるのはそう珍しいことじゃない、その上で冒険者としての位階指定がチームでもEならありふれているともいえる時代なのだ。


 ユキトイキは三人組の配信者だが三人ともが僕の最推しだ。

 例え世間で冒険者が人気でも、僕がその人気に乗っかれない定めでも、僕は一向に構わない。

 執行者として暮らしに不自由はなく、推しを自由に好きなだけ推せるのだから。


 時々の人殺しくらい、もう何も思わない。

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